iconic
Iconic : Message 4 America / Sheila E.
 Stilettoflats Music '17 

80年代後半、プリンスの革命を支えた功労者の1人、シーラE。
90年代以降はプリンスと袂を分かったが、歳を取って殿下も丸くなったのか、シーラも殿下を許したのか、21世紀に入ってからは徐々に関係が改善。プリンスのキャリアを通して、シーラこそが最大の理解者だったことは疑いようもない

しかしながら、シーラがプリンスのプロデュースで出した80年代後半の3枚のソロ・アルバムは正直ビミョー。「The Glamorous Life」「A Love Bizarre」といった決定的なキラー・チューンはあるが、アルバム通して聴くのは結構キツい。同時期のザ・ファミリージル・ジョーンズの作品とは比べるべくもない。この3枚の悪印象のせいで、それ以降のアルバムも聴けていない。

なので、本作はプリンスが関わっていないシーラのアルバムとしては、初めて聴く作品になる。しかし、不在であるハズのプリンスの存在を強く感じる作品でもある。
クラウド・ファンディングで資金を募り制作された本作は、旧知のサックス奏者、エディーMや、ブライズ・オブ・ファンケンシュタインのリン・メイブリーを含むバンドを軸に、エスコヴェード家はもちろんのこと、キャンディー・ダルファーやキャット・グレイといった馴染みの面子の他、ジョージ・クリントン、ブーツィー・コリンズ、フレディー・ストーンから、リンゴ・スター、グレッグ・フィリンゲインズ、アンジェラ・デイヴィスといった豪華なゲスト陣を招聘。
収録のほとんどはカバー曲で、トランプ以降のアメリカの分断を憂い、結束を呼びかけるアルバム・コンセプトに則った選曲が為されている。2010年のジョン・レジェンド&ザ・ルーツ『Wake Up!』と近いスタンスの作品(アメリカの状況は当時とは大きく違うが)。

実父ピート・エスコヴェードがコンガを叩くオープニング・ナンバー「Funky National Anthem : Message 2 America」は、JB's「Doing It To Death」をベースにアメリカ国家や、キング牧師のスピーチなどを絡める。リンゴ・スターがドラムを叩くビートルズ「Come Together / Revolution」は「All You Need Is Love」のフレーズも引用。スライ「Everyday People」では、フレディー・ストーンがギターとヴォーカルで参加。スライによく似たフレディーのヴォーカルが嬉しい。プリンス「Forever In My Life」のサンプルにもニヤリとさせられる。

エディーMがシーラと一緒にヴォーカルを取るマーヴィン・ゲイ「Inner City Blues / Trouble Man」、スティーヴィー・ワンダーの地味渋名曲「Jesus Children Of America」、ブーツィーがベースとギターを弾く「James Brown Medley」は、「Talkin' Loud And Sayin' Nothing」「Papa Don't Take No Mess」「Get Up, Get Into It, Get Involved」「Soul Power」「Super Bad」とファンク・クラシック攻め。ピアノ・バラードのビートルズ「Blackbird」、ジョージ・クリントン御大を担ぎ出した「One Nation Under A Groove / Mothership Connection」は、その主題からして本作の核となる曲。

カーティス・メイフィールド「Pusherman」、ステイプル・シンガーズ「Respect Yourself」、さらにリー・ドーシー「Yes We Can」と続くあたりが本作の山場。そして、満を持してプリンス「America / Free」。キャンディー・ダルファーを伴ってのこの曲は、プリンスの意志を引き継いでいくことの、シーラの決意表明。ラストのディオンヌ・ワーウィック「What The World Needs Now Is Love」まで、気合い漲る大充実の傑作。