new zapp 4 u
The New Zapp Ⅳ U / Zapp
 Warner Bros. '85 

バンドの肉体的なグルーヴとクールなシンセサイザーを融合し、ソウルフルな肉声とトークボックスをレイヤーした極上の80'sファンク・サウンドを生み出したザップ/ロジャー。
特に80年代前半の作品、ザップの1st、2nd『Ⅱ』、3rd『Ⅲ』、そしてロジャーの1枚目『The Many Facets Of Roger』あたりは、生のグルーヴと機械的な肌触りのバランスが絶妙で、非常に素晴らしい。84年のロジャー2作目『The Saga Continues...』も、ややデジタルの比重が増したが、まだまだ肉体的なグルーヴを宿した傑作だった。

しかし、翌85年の本作『The New Zapp 4 U』では、さすがのロジャーも踏み留まれなかった。
当時のほとんどすべてのファンク・バンドが、生ドラムから打ち込みへ移行を余儀なくされた(そして程なくして消えていった)が、ザップも本作からドラム・マシンを導入。アルバム・タイトルにある通り、ロジャーは新しいザップ・サウンドを模索していたのだろう。大スターに登り詰めたプリンスを意識していた部分もあったハズ。
しかし、アルバムとしては、ロジャー存命時のザップ/ロジャー作品のなかでは一番落ちるというのが正直なところ。

オープニング・トラックの「It Doesn't Really Matter」から、角張った打ち込みビートを叩きつけるファンク・チューン。コレはコレで悪くないが、しかし、「More Bounce To The Ounce」や「Dance Floor」のような生々しいグルーヴでは無くなっている。
新機軸はファンクよりも、むしろスロウ曲で打ち出された。「Computer Love」は、ぎこちないマシン・リズムの上に、ロジャーのトークボックスとそれをふくよかに肉付けするコーラスが重なったスロウ・ジャム。終盤、ギャップ・バンドのチャーリー・ウィルソンのヴォーカルが切り込む。この路線は87年の大ヒット・ナンバー「I Want To Be Your Man」で最大の成果を得ることになる。

「Itchin' For Your Twitchin'」は、ミネアポリス・サウンド風のファンクで、プリンス「Irresistible Bitch」みたいなフレーズも聴こえる。この曲や1曲目など、従来のザップ/ロジャー・サウンドとは印象の異なるソリッドなファンク・サウンドは、ロジャー名義の次作『Unlimited!』以降は徐々にサマになってくるが、本作ではドラム・マシンの使い方がまだコナレていないと感じる。
「Radio People」はロジャーらしいポップで楽しい曲だが、個人的にはあまり興味の無い曲。フラミンゴスの大スタンダード・ナンバー「I Only Have Eyes For You」のカバーでは、打ち込みサウンドとトークボックスを敷き詰めてドリーミーに描く。

ここまでは十分に聴けるのだが、問題はここから。
「Rock 'N' Roll」はタイトルどおりロック色強めだが、冒頭のフレーズは誰が聴いてもヴァン・ヘイレンのアノ有名曲を思い出さざるをえない。アッパーな「Cas-Ta-Spellome」は凡庸な出来。「Make Me Feel Good」はお約束のジャズ/フュージョン調インストだが、ザップのアルバムにおけるこの手の曲は、ヘヴィーにバウンスするファンクがあってこそ活きるワケで、ファンクが弱い本作ではいつものカタルシスは得られない。
ラストの「Ja Ready To Rock」は、ヒップホップを横目に睨んだようなオールド・スクール感横溢のファンク。ヒップホップへの接近もコレ以降のザップ/ロジャーの大きなテーマとなっていく。