spacing out
Spacing Out / The Invaders
 Duane '70 

バミューダのファンク・バンド、インヴェイダーズの70年作『Spacing Out』。
カリブ海とか西インド諸島というと、ビギニング・オブ・ジ・エンド『Funky Nassau』みたいな感じを勝手に想像していたのだが(改めて地図を見ると、バミューダってバハマやハイチからは結構距離がある。というかカリブ海じゃないな)、この『Spacing Out』はそんなカリブ/ラテンの陽気なムードは意外にも控え目で、ジャリジャリした粗い質感の真っ黒へヴィーなファンクをやっていて驚き。本場US顔負けどころか、70年当事にこんなドス黒ファンクをやっていたバンドはアメリカにもそうは居なかったハズ。硬いドラムの鳴りなんかは、レア・グルーヴやヒップホップを通過した耳には非常に気持ちよく響く。

アルバム冒頭のアイズレー・ブラザーズ「It's Your Thing」のカバーは、ウネるグルーヴに揺さぶられるファンク・チューン。続く「Lost Time」もグルーヴィーで堪らないが、この2曲は演奏が短いのがもったいない。フルートと乾いたパーカッションがクールなグルーヴを生む「The House That Jack Built」、ミーターズが風呂場で演奏しているようなエコーとヨレっぷりが最高な「Look A Py Py」カバー、「Bossa Blue」はオシャレなボッサ感など皆無のラテン・ファンク。

アルバム・タイトル曲「Spacing Out」は、激重ドラムスと極太ベースが強力無比のヘヴィー・ファンク。ミドル・テンポのラテン・グルーヴ「Where We Are」、硬く響くパーカッション音が気持ちいいラテン・ジャズ・ファンク「Latin Lips」、ラストの「It's Your Thing Part 2」は、今度はしっかり長めの演奏で楽しませてくれる。