motion
Motion / Allen Toussaint
 Warner Bros. '78 

60年代後半から70年代半ばにかけて、ソウル~ロックを股にかけて活躍したプロデューサー/作曲家、アラン・トゥーサン。
最盛期には、ホーム・グラウンドのニュー・オリンズ、シー・セイント・スタジオには、著名アーティストのトゥーサン詣での行列が出来ていたが、それまで緊密な連携を保ってきたミーターズと袂を分かった76~77年頃になると、トゥーサンのマジックにも翳りが見え始める。

そんな時期にリリースされたソロ・アルバム『Motion』は、『Life, Love & Faith』『Southern Nights』といった名盤とはかなり趣きが異なる。
既に解散していたミーターズのメンバーの参加は一人もなく、代わってチャック・レイニー、リチャード・ティー、ラリー・カールトン、ジェフ・ポーカロら一流のセッション・ミュージシャンが脇を固め、ボニー・レイットやエタ・ジェイムスといった大物がバック・コーラスを務めている。これだけの面子、流石に演奏は素晴らしいが、ここで聴けるのは洗練されたシティー・ソウル/AOR的なサウンドで、必然ニューオリンズらしさは希薄になっている。

また、プロデュースをジェリー・ウェクスラーに仰ぎ、約半数の曲でニック・デカロをアレンジャーに迎えるなど、これまで自前で賄ってきた部分の多くを外部に委ねてしまっているのはちょっと寂しい(御大両名の仕事ぶりには文句ない)。しかし、作曲はすべて自身のペンによるもので、その辺りにはトゥーサンの矜持が窺えるよう。実際、イイ曲が揃っているし、演奏も上質、意外やトゥーサンの歌も良しの好盤には違いない。

ファンキーなグルーヴの「Night People」でアルバムはスタート。「Just A Kiss Away」の転がるようなピアノと弾むリズムにニューオリンズの残り香が。都会的なバラードの「With You In Mind」や「To Be With You」でのトゥーサンのマイルドな歌い口は、ソウルフルでは無いが十分に聴かせる。
アルバム・タイトル曲の「Motion」はテンダーなムードのスロウ。「Viva La Money」は粘っこいグルーヴのミッド・ファンク。アーバンなバラード・ナンバーの「Declaration Of Love」、リズミカルな「Happiness」、ラストの「The Optimism Blues」はウォーキング・テンポのシャッフルでホッコリさせる。