peddlin music on the side
Peddlin' Music On The Side / Lamont Dozier
 Warner Bros. '77 

作曲家として60年代にはモータウンでヒット曲を大量に送り出し、モータウンを離れた後はインヴィクタス/ホットワックスで精力的に活動したラモン・ドジャー。
しかし、もとよりシンガー志向が強く、モータウン以前には歌手として活動していたラモンは、やがてブライアン&エディー・ホランドと袂を分かち、シンガー・ソングライターとして独り立ち。73年にはABCから1stアルバム『Out Here On My Own』をリリース。翌74年には、以前にホランド-ドジャー feat.ラモン・ドジャー名義で出ていたシングル曲を中心に、インスト・ナンバーなどを抱き合わせたアルバム『Love And Beauty』が古巣インヴィクタスからもリリースされた。
70年代後半に入るとABCからワーナーに移籍、本作『Peddlin' Music On The Side』は通算5枚目のアルバムとなる。

メロディー・メイカーとしての才は微塵も衰えておらず、煌きを湛えた彩り豊かな楽曲の数々は素晴らしいとしか言いようがない。シンガーとしてのラモンの力量は、例えばジョニー・ブリストルやレオン・ウェアといった同業者よりは上だと思うが、本職のソウル・シンガーと比べるとやや物足りないか。しかし、ブリストルやウェアと同じく、自身のヴォーカルを活かす作曲術を流石に心得ていて、歌と曲がぴったりとマッチしている。

ジェイムス・ギャドソン、ウィルトン・フェルダー、デイヴィッド・T・ウォーカー、アーサー・アダムス、レイ・パーカーJr、ジョー・サンプル、ポウリーニョ・ダ・コスタ、ビル・サマーズなど、腕利きをズラリと揃えた演奏陣も凄い。デトロイトらしい硬質なノーザン・サウンドは既に聴かれなくなっているが、ここで奏でられるメロウでグルーヴィーなサウンドも素晴らしい。プロデュースはスチュワート・レヴィンに委ね、アレンジャーはソニー・バークを中心に、HBバーナムやヒュー・マセケラ、インヴィクタス時代からの盟友マッキンリー・ジャクソンを起用。

「Sight For Sore Eyes」は、瑞々しいメロディーとサウンドが溢れる快調なアップ・ナンバーで、アルバムの幕開けにぴったり。メランコリックに揺れるスロウ「What Am I Gonna Do 'Bout You(Girl)」、クールにグルーヴするノーザン・ダンサーの「Break The Ice」、「Tear Down The Walles」はエレガントなバラード。
「Going Back To My Roots」は歯切れのよいピアノとワウ・ギター、乾いたパーカッションがリズミカルに跳ねる、ガラージ・クラシックとしても名高いアフロ・トライバルなダンス・ナンバー。メロディー・ラインの麗しさと素晴らしいアレンジに唸らされる「Family」、ラストのアルバム・タイトル曲「Peddin' Music On The Side」はラモンの力強いヴォーカルとウォーターズのコーラスが熱く盛り立てる。