instrumental directions
Instrumental Directions / The Nite-Liters
 RCA '72 

ニュー・バースの前身バンド、ナイト・ライターズがリリースした5枚のアルバムはいずれもファンク良作だが、3rdアルバムとなる本作『Instrumental Directions』も聴き応え十分。
バンドの後見人であるハーヴィー・フークワが本作でもプロデュースを担い、前2作よりもファンク・バンドとしての完成度を増している。

アルバムはアイザック・ヘイズ「Theme From Shaft」のカバーからスタート。期待どおり、ハード・ヒッティンなホーンズとワウワウしまくりのギターが最高な、スリリングにチェイスするジャズ・ファンク・チューン。「Brand X」はクール&ザ・ギャングのジャズ・サイドを思わせるグルーヴィー・ナンバー。バディー・マイルズ「(Them)Changes」とルーサー・イングラム「Respect To The Other Man」のカバーは珍しくヴォーカル入り。「Cherish Every Precious Moment」はヴァーノン・バロックがアレンジを手がけたややポップなナンバー。

「Afro-Strut」は分厚いホーン・セクションとギター・リフが強力なドス黒ファンク。「MacArthur Park / What's Going On」のメドレーは、アフロ成分濃厚なパーカッションをボコボコ鳴らしながらグルーヴィーに疾走するジャズ・ファンク・チューン。「I've Got Dreams To Remember」はオーティス・レディングのあの名バラードのカバーだが、ここでは大胆なファンク解釈で原曲の面影はまるで無い。70年代ファンク・バンドの多くがカバーしている「Wichita Lineman」をナイト・ライターズも取り上げているが、途中でシャッフル調になるあたりに独自色が見出せるか。ラストの「Baker Instant」も重厚なホーン・セクションとアフロなパーカッションが効いたファンク・ナンバーで大満足。