trapped by a thing called love
Trapped By A Thing Called Love / Denise La Salle
 Westbound '72 

70年代に活躍したサザン・ソウル・シンガー、デニス・ラサールの訃報。
彼女の作品をそれほど熱心に聴いてきたわけではないが、1stアルバムにして代表作となる本作『Trapped By A Thing Called Love』や次作『On The Loose』など、印象に残る良作を残している。
その2作はいずれもウィリー・ミッチェルのプロデュース、メンフィスはロイヤル・スタジオの録音で、ハワード・グライムスやホッジス3兄弟が参加。と来れば当然ながら聴こえてくる音はあの魅惑のハイ・サウンド。
デニスのヴォーカルは華やかさには欠けるかもしれないが、どっしりとした土臭さの中にも女性らしい艶も垣間見せ、ハイ・サウンドとの相性はバッチリ。また、本作では全11曲中8曲のソング・ライトをデニス自身が手がけるなど、作曲能力の高さも見せる。

1曲目のアルバム・タイトル曲「Trapped By A Thing Called Love」から、ハイ・リズムの黒く艶っぽいグルーヴとデニスのアーシーなヴォーカルがガッチリ噛み合った素晴らしいミドル・ナンバー。この曲の他、「Catch Me If You Can」や「The Deeper I Go」、「Keep It Coming」あたりが典型的なハイ・サウンドで、やはりこのミディアムでジワジワとやるグルーヴの魔力からは逃れられない。

「Now Run And Tell That」や「Hung Up, Strung Out」、「Do Me Right」といった重量感たっぷりのアップ・ナンバーで聴かせる歌いっぷりも流石。晴れやかなミディアム・ナンバー「Heartbreaker Of The Year」、ファンキーなサザン・スワンパー「Goody Goody Getter」、グルーヴィーなリズムに鄙びたオルガンとふくよかなホーンが乗る「You'll Lose A Good Thing」、キャロル・キング「It's Too Late」は、意外や都会的な雰囲気も漂う好カバー。全曲良曲の名盤。R.I.P.