sneakin sally through the alley
Sneakin' Sally Through The Alley / Robert Palmer
 Island '74 

自分の世代的には、ロバート・パーマーというとパワー・ステーションや大ヒットした「恋におぼれて」の人、という程度の認識で、当時ラジオでもよく流れていた記憶がある。UKの伊達男といったイメージや、良くも悪くも80年代的な軽薄さが付きまとうのは、多分「この愛にすべてを」のPVの印象に引っ張られているのだと思うが、そのソロ・キャリア初期には、80年代のパーマー像とはかなり印象の異なる、結構黒っぽいフィーリングの作品を出していたことを、随分後になってから知って驚いた。

特に1stアルバムとなる本作『Sneakin' Sally Through The Alley』は、リトル・フィートのローウェル・ジョージとミーターズによるニューオリンズ録音を中心とした作品。何しろニューオリンズ・ファンク最強盤『Rejuvenation』を録音した頃のミーターズだけに、黒々とした土臭いファンク臭がムンムンと立ち込めている。屈強なバンドのグルーヴと渡り合うパーマーのヴォーカルもなかなか健闘しており、ブルー・アイド・ソウルの秀作と言ってよさそう。
アルバム・オープニングの「Sailing Shoes」はリトル・フィート曲のカバーで、ミーターズの粘るバッキングが堪らないミッド・ファンク。続く「Hey Julia」の演奏はミーターズではなさそうだが、十分にグルーヴィーにウネっている。リー・ドーシーでお馴染みのアルバム・タイトル曲「Sneakin' Sally Through The Alley」もカッコいいニューオリンズ・ファンクで、メドレーで繋がったこの冒頭3曲は勢いと熱量で一気に聴かせる。

「Get Outside」「Blackmail」は、バーナード・パーディー、コーネル・デュプリー、リチャード・ティー、バーナード・オーダムというモノ凄い面子による演奏とのことで、ここでの都会的なグルーヴもパーマーのカラーに合っていてイイ感じ。
「How Much Fun」はニューオリンズ調のピアノが転がるミディアム・テンポの陽気なR&Bナンバー。アラン・トゥーサン「From A Whisper To A Scream」のカバーは、ジガブー&ポーターのヘヴィーなグルーヴがドクドクと脈打つ。ラストの「Through It All There's You」はパーディー、デュプリーらのチームにスティーヴ・ウィンウッドを加えた布陣で、コレも非常にグルーヴィー。パーディーも必殺のダチーチーをこれでもかと叩き込んでくる。