otis clay single collection
The Hi Records Single Collection / Otis Clay
 Solid '14 

数多のソウル・シンガーのなかでも、オーティス・クレイはマーヴィン・ゲイやロナルド・アイズレー、ボビー・ウォマックらと並んで最も好きな歌手の1人。
本作は、オーティスがハイに残した全シングル曲に加え、それ以前、60年代にワンダフルとダカーからリリースしたシングル曲も数曲含む、まさに最強のシングル・コレクション。
72年の大名盤『Trying To Live My Life Without You』にも収録の「Home Is Where The Heart Is」「Precious, Precious」「Too Many Hnads」「I Die A Little Each Day」といったシングル曲の素晴らしさは言わずもがなだが、シングル・オンリー曲がことごとくそれらを凌駕するほどの出来栄えなのが凄い。

「Brand New Thing」はハイでの最初のリリースとなった71年のシングル「Home Is Where The Heart Is」のB面曲。まさにオーティス・クレイ節、ハイ・サウンドの素晴らしいミディアム・グルーヴ。「Let Me Be The One」は「Trying To Live My Life Without You」のB面曲で、ゆったりとしたテンポで歌われるサザン・ソウル・バラードに男泣き。「I Didn't Know The Meaning Of Pain」は、ハイ・リズムのグルーヴのマジックがたっぷりのミドル。ジョージ・ジャクソン作の「If I Could Reach Out(And Help Somebody)」は震えが来るような名曲名唱。それにしても本当に良い曲を書く人だ。
重くブルージーなムードの「The Woman Don't Live Here No More」と、そのB面の臭みあるファンキーさがグレイトな「You Can't Escape The Hands Of Love」は74年のリリース。同じく74年のシングル「You Did Something To Me」も安心高品質のハイ印グルーヴを保証。そのB面のドン・ブライアント作、アン・ピーブルズの名唱でも知られる「It Was Jealousy」は、涙腺決壊必至の激唱。もうこれは言葉にならない。

60年代のナンバーも凄い。「Got To Find A Way」と「That's How It Is」はワンダフル音源とハイでの再演の両方を収録。「Got To Find A Way」は豪快なジャンプ・ナンバーのワンダフルとファンキーなハイ、どちらもそれぞれに良さがある。「That's How It Is」も、ハイ録音の完成度の高さの一方、ワンダフルの粗っぽさにも抗い難い魅力がある。
「Show Place」もワンダフルでの1曲で、これもザラついた粗さがイイ感じ。「Baby Jane」と「You Hurt Me For The Last Time」はダカーでの録音でウィリー・ヘンダーソン制作。激烈アップの前者、ミディアムの後者ともに、ワンダフルともハイとも違うムードでこれもまた素晴らしい。