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Cookie : The Anthropological Mixtape / Meshell Ndegeocello
 Maverick '02 

ミシェル・ンデゲオチェロの最初の2枚のアルバム、『Plantation Lullabies』『Peace Beyond Passion』は当時かなり気に入って聴いていたが、3rd『Bitter』は、BMRのレヴューを読んで尻込みしてしまい、購入を見送った(まま、実は今だに聴けていない)。
以降の彼女の作品は、買ったり買わなかったりで、買っても最初の2枚ほど聴き込むようなことはなかったのだが、もうすぐリリース予定のカバー・アルバムにはちょっと期待していて(プリンスの「Sometimes It Snows In April」をカバーしているそう)、その前に予習(というか復習か)のつもりで4枚目のアルバムとなる本作『Cookie : The Anthropological Mixtape』を久し振りに聴き返してみて、思いがけず唸らされた。

リアルタイムで聴いた時は、これはなかなかファンクで尖った作品だなあと思いつつ、愛聴するには至らなかった。最初の2枚で聴けた、しなやかにウネるグルーヴやGo-Goっぽいファンク・ビートが好きだったのだが、本作ではよりソリッドなビート感が強調されていて、そこがイマイチ馴染めなかった原因だと思う。
ヒップホップを肉感的なグルーヴにうまく取り込んできたミシェルだが、本作が1stアルバム以上にヒップホップ色強いのは、半数以上の曲でドラムをプログラミングしているからだが、ミシェルの太く力強いベースと相俟ってエッジの切り立ったカッコいいファンク・サウンドになっている。今更ながら、コレは最初の2枚に優るとも劣らない傑作だと思う。

アルバム・オープナーの「Dead Nigga Blvd.(Pt.1)」は、変則気味にバウンスするビートが強力にウネりまくるファンク・チューン。「Hot Night」は粘っこいグルーヴとインパクト大なサンプリングでこれまた強力なファンク・ナンバー。
揺蕩う幽玄グルーヴの「Priorities 1-6」、スライ「Poet」をヒップホップ的に再構築したかのようなミッド・ファンク・トラック「Pocketbook」、ダルなグルーヴがレゲエ/ダブ的でもある「Barry Farms」、「Trust」「Akel Dama(Field Of Blood)」「Earth」とアルバム中盤はアブストラクトなスロー/ミディアム・ナンバーが続く。

ファンカデリック「Better By The Pound」のカバーは、ズブズブに沈み込むグルーヴがクールなスロー・ファンクで最高。地を這う重いベースがドロドロのグルーヴを生むジャズ・ファンク「Criterion」と、ベースがグルーヴしまくるカッコいいファンク・ナンバー「God Fear Money」、『Voodoo』っぽいムードの「Jabril」の3曲は、オリヴァー・ジーン・レイクのドラムスがグルーヴをギュッと引き締めている。
「Dead Nigga Blvd.(Pt.2)」ではキッド・ファンカデリック=マイケル・ハンプトンがギターを垂れ流す。「6 Legged Griot Trio(Weariness)」もジーン・レイクがドラムを叩きディープなファンクネスを滲ませる。ラストの「Pocketbook(Rocwilder And Missy Elliott Remix)」はレッドマンとトゥイートをフィーチャーしたヒップホップ・トラック。