spell
Spell / Deon Estus
 Mika '88 

ワム!やジョージ・マイケルのソロ作に参加していたベーシスト、ディオン・エスタス。
87年のジョージの1stソロ・アルバム『Faith』でもイイ働きをした彼が、翌年リリースした唯一のリーダー作が本作『Spell』。
これはベーシストのアルバムというより、シンガー/ソングライターとしての姿にフォーカスを当てたR&Bアルバムと言えそう。1曲を除いて全曲をディオンが作曲、ベースの他、曲によってはキーボードも自ら演奏。ヴォーカルは取り立てて魅力があるわけではないが、時にジョージに似た歌を聴かせる。

この時代のプロダクションゆえ、アップ・ナンバーはスクエアなビート、均質なリズムが今の耳にはやはり厳しいかも。それよりも、ミディアム~スロウ系の曲に魅力を感じる。
やはり白眉はシングル曲の「Heaven Help Me」で、この曲はディオンとジョージの共作、プロデュースもジョージで、更にバック・ヴォーカルもジョージが付けている。ディオンの歌もジョージをコピーしたかのようで、もう「Father Figure」なムードが横溢しまくりの極上クワイエット・ストーム。
アダルトな雰囲気のR&Bスロウのアルバム・タイトル曲「Spell」、伸びやかなファルセットを聴かせる「Love Can't Wait」も悪くない。