sex shooter
Apollonia 6
 Warner Bros. '84 

プリンスのサイド・プロジェクトの中でも、一際イロモノ、キワモノ視されているだろうヴァニティー6とアポロニア6。
英雄色を好むと言うが、時代の寵児となったファンカーはガール・グループをプロデュースしたがる傾向にあるようで、スライはリトル・シスター、クリントンはパーレットとブライズ、リック・ジェイムスはメリー・ジェーン・ガールズを世に送り出したが、プリンスもお色気要員としてヴァニティー6のアルバムを82年にリリース。

その後、映画『Purple Rain』撮影直前にプリンスはヴァニティーと喧嘩別れ。急遽オーディションで選んだアポロニアを映画のヒロインに起用、ついでにヴァニティー以外の2人ーブレンダ・ベネットとスーザン・ムーニーズはそのままに、センターのみをアポロニアに挿げ替えたカタチでアポロニア6として本作を84年にリリース。
勢いに乗りまくる全盛期のプリンスだけに、ここでもあの頃のプリンス・サウンドで埋め尽くされている。もちろん、ほとんどの作曲、アレンジ、演奏、プロデュースはプリンス。ガール・グループだけに、プリンス本人名義の作品に比べるとポップな印象ではあるが、遊び心や余裕のようなものが感じられるのもイイ。歌が弱いことに目を瞑れば、プリンスのファンであれば十分に楽しめる好盤。

アルバム・オープナーの「Happy Birthday, Mr. Christian」は軽快なポップ・ナンバー。アレンジはいかにも当時のプリンスらしいモノで、シンセ・フレーズも殿下印。
「Sex Shooter」は王道ミネアポリス・サウンドで、ドラム・マシンとシンセの淫靡なグルーヴが堪らない。本作のベスト・トラック。
「Blue Limousine」は80's歌謡テイストのポップ・ダンス・チューン。当時この手の曲は巷に溢れていたように思うが、この古臭さと懐かしさも今聴くとまた良かったり。

「A Million Miles(I Love You)」は疾走感のあるアップ・ナンバーで、この曲はウェンディ&リサとシーラEが演奏。本作中では最も生っぽいグルーヴが躍動する曲で、特に中盤からのジャムっぽい展開が非常にカッコいい。
スーザンがメインの「Ooo She She Wa Wa」はアッパーなパワー・ポップ・ナンバー。ブレンダが歌う「Some Kind Of Lover」(邦題「極上愛人」って...)は、ヘヴィーなベースが弾むアーバン・ファンクで、コレが意外と結構イイ。ラストの「In A Spanish Villa」は打ち寄せる波の音をバックにアポロニアの語りと泣きのギターが入ったアウトロ的な曲。