i need help
I Need Help(Live On Stage) / Bobby Byrd
 King '70 

稀代のエンターテイナーであるJBの、永遠の相方としてソウル・ミュージック史に名を留めるボビー・バード。
監獄で若き日のJBと出会い意気投合、JBの仮釈放の際には身元引受人となった。バードが率いていたフェイマス・フレイムスの前身となるグループにJBを加入させるが、すぐに圧倒的な技量でグループを支配するようになった(乗っ取った?)JBを前に、バードは座長を降りJBのサポートに回ることに。
バードは1973年にJBと袂を分かつまで、常にJBに付き従い、録音やライヴでは抜群に息の合った合いの手を入れ、JBの邪魔をしないようにオルガンを弾き、ライヴでは数曲のソロ・パートをやらせてもらい、時にはレコードをリリースさせてもらえた。

突き抜けた巨大な才能とカリスマを持つスーパー・スターに対し、片や二流のソウル・シンガー。自らの分を弁えたバードの生き様には、何か複雑な思いを持たざるをえないが、JBの元を離れて以降のバードがずっと不遇を託っていたのも事実で、JBの強烈な輝きあってこそ活きるバードの存在であったことは歴史が証明している。

本作『I Need Help(Live On Stage)』は、バードがJBと活動をともにしていた時代に唯一リリースすることができたアルバム。
この頃のJBには有りがちな、歓声を付け足した疑似ライヴ仕立て。絶頂期のJBプロダクションだけに、特にファンク・ナンバーは聴き逃がせない出来。
「I Need Help(I Can't Do It Alone)」はJB「You Got To Have A Mother For Me」のトラックにバードのヴォーカルを吹き込んだもの。「Mother Popcorn」をモノにしたJBは、その原型である「You Got To Have A Mother For Me」はリリースせず、バードに譲ったということか。やや一本調子ではあるけれど、頗るファンキー。

「Funky Soul」はタイトルからしてズバリのファンキー・ソウル・ナンバーで、オーティス・レディングっぽい唱法も披露。「You've Got To Change Your Mind」はJBとバードのデュエットによる、おそらくタイトル曲と並んで本作中で最もよく知られた曲。どちらかと言えばJBがメインだが、バードもソウルフルに歌い上げる。
「You Got To Have A Job(If You Don't Work You Can't Eat)」はマーヴァ・ホイットニーが先に歌っていた曲で、マーヴァ版はJBも参戦して壮絶なシャウトの応酬を2人が繰り広げる激カッコいいファンク・ナンバーだったが、こちらはバードが1人で奮闘。マーヴァ版には敵わないが、バード版も十分にカッコいいファンク・チューン。

その他の、アルバムの半数以上を占めるミディアム~スロウ系のソウル・ナンバーは、取り立てて出来のいいものではないようにも思うが、バードの武骨で不器用な歌はJBとはまた違った魅力があって楽しめる。