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Lewis Ⅱ / Lewis Taylor
 island '00 

UKの白人R&Bアーティスト、ルイス・テイラー。
作曲、演奏、プロデュースまで自分1人で行うマルチ・ミュージシャンで、1996年に1stアルバムをリリース。時折しもディアンジェロのデビュー直後で、その後を追うように才能ある自作自演派のUS黒人アーティストが多数出現。UKでもリンデン・デイヴィッド・ホールが頭角を現した頃。
いや実際のところ、テイラーはリンデンやエリック・ベネイらよりも早かったワケで、90年代後半のニュー・クラシック・ソウル隆盛の先頭集団に彼が居てもおかしくなかったハズなのだが、しかしテイラーはその波に乗ることはできなかった。

テイラーが1stアルバムで見せた音楽性は、奇妙に入り組んだ迷宮感覚を有する、サイケデリックでオルタナティヴなR&B。ダークでクールな、ともするとオーガニックと言うよりも無機質な感触。
ロンドン生まれの白人による、こんな異形のソウル・ミュージックが、当時のNCSのムーヴメントから零れ落ち、一般大衆からの評価/セールスも得られなかったのも無理からぬ話だろう(但し、業界内の評価は高かったようで、ディアンジェロはテイラーを『Voodoo』セッションに招いたのだそう)。

アルバム1枚で終わるか、或いは2枚目があったとしても大幅な路線変更を余儀なくされるかと思いきや、1stから4年かかってリリースされた2ndアルバムとなる本作『Lewis Ⅱ』でも、テイラーの独自の音楽を追求する姿勢はまったくブレていない。どころか、複雑で奇妙なアレンジと展開、絶妙に噛み合わない独特のメロディー・センスは更に研ぎ澄まされ、一方でやや脆弱にも感じられたボトムに厚みと重みが加わり、1stよりも更に完成度を高めている。シンガーとしてのテイラーはマーヴィン・ゲイの影響下にあり、ファルセット主体のヴォーカルと多重コーラスは精緻にトラックへと嵌め込まれている。
かの鈴木哲章氏も当時絶賛した怪作だが、やはり商業的には失敗に終わったようで、以降はマイナー・レーベルから数枚アルバムをリリースするも(残念ながら未聴)、テイラーは音楽業界に失望し表舞台から姿を消してしまった。

オープニング・ナンバーの「Party」は、ウネりまくる重層的なリズムにサイケな音処理が浮遊する捻じくれたファンク・ナンバーで、いきなり聴き手を突き放すような異様なサウンド。「My Aching Heart」は、トラブル・ファンク「Drop The Bomb」の強力にバウンスするボトムにワウ・ギターがウネウネと絡むファンク。「You make Me Wanna」は異物混じりのザラついたトラックがジワジワとクールに進行する。今にも爆発しそうでしない、抑制の中でグルーヴが増幅する。

「The Way You Done Me」は引きずるようなグルーヴの上をギクシャクとのたうつ変則リズムがズレまくる、一聴ポップなメロディーとは裏腹に一筋縄では行かない怪曲。サイケデリックなロック・バラード「Satisfied」、金属的なビートの上にズレたヴォーカル&コーラスが乗るミドル「Never Be My Woman」、「I'm On The Floor」は奇妙なベース・ラインが異様なグルーヴを生むファンキーなナンバー。

骨太なロック・ナンバー「Lewis Ⅱ」、ポップにヒネくれた「Into You」、ジャジー・スロウの「Blue Eyes」、ラストのゆったりとしたスムーヴ・チューン「Everybody Here Wants You」まで、今聴いても新鮮で謎めいたカルト・ソウル・アルバム。