lowrell
Lowrell
 AVI '79 

シカゴのヴォーカル・グループ、ロスト・ジェネレーションのメンバーとしても活躍したロウレル・サイモン。
2枚のアルバムをリリースしグループは解散、その後ロウレルはソングライターとして活動、ミスティークやナチュラル・フォーなどシカゴのアーティストを中心に楽曲を提供。そのキャリアから、ユージン・レコードにも似た資質の持ち主であることが窺えるが、1979年になってようやくリリースした唯一のソロ・アルバムとなる本作は、そのユージン・レコードにブルース・ホウズ、トム・トム84らによるプロデュース。

本作と言えば、というか、ロウレルと言えばこの曲、「Mellow Mellow Right On」。この曲をサンプリングしたマッシヴ・アタック「Lately」を初めて聴いて以来、この循環する催眠的なベースラインの気持ちよさの虜になってしまった。
1番気持ちいいテンポでリズムを刻むベースとドラムスの完璧なコンビネーション、メロウに濡れたギター、ウィンディーなムードを醸す柔らかなホーン・アレンジとストリングス、”メロメロ、メロメロ”と繰り返す甘美な女声コーラスと男の色気を匂わすロウレルのヴォーカル。
ゆったりとしたグルーヴに身を委ねていると、時が経つのを忘れてしまうような、延々と聴き続けていたくなるような、ヴォーカル・ヴァージョンとインスト続けて10分超の至福のメロウ・グルーヴ。1度聴くと暫くはこの催眠ベースラインが勝手に脳内ループされ続けてしまうという、恐るべき常習性を持つ曲。

アルバムではやはりこの曲が頭抜けているが、他の曲も悪くない。なかでは、パーカッシヴなグルーヴにアコギとワウ・ギター、ホーン・セクションが乗る「Overdose」が好き。ディスコのりの「Out Of Breath」、ブギーなグルーヴの「You're Playing Dirty」、重いムードからメロウに広がるサビの解放感が爽快な「Smooth And Wild」と、アルバム1枚通して聴ける。