moving target
Moving Target / Gil Scott-Heron
 Arista '82 

ミッドナイト・バンドとの共闘体制の集大成となった2枚組ライヴ盤『It's Your World』以降は、70年代前半のスティーヴィー・ワンダーのブレーンだったマルコム・セシルを制作に起用。ミッドナイト・バンドが持ち込んだ熱いラテン・ジャズ・ファンクから、シンセサイザーとスタジオ・ミュージシャンによるクールで都会的なサウンドへとシフトしていったギル・スコット・ヘロン。

『Bridges』『Secrets』はセールス的にはともかく、ネクスト・スティーヴィーをギルに求めたアリスタにとって望ましい内容だったろうし、作品としても良い出来だった。しかし、ギルとブライアン・ジャクソンがシンセサイザーに囲まれた近未来的なジャケットの『1980』を最後にブライアンとの双頭ユニットは解消。
以降は、マルコムとの関係を維持しつつ新しく編成したバンド、アムネジア・エクスプレスとのコラボレーションでアルバムを制作。その初作となる『Real Eyes』は、個人的には『1980』同様にあまり聴き返すことのないビミョーな作品だが、続く『Reflections』と『Moving Target』はなかなかの力作。

アリスタ最終作となる本作は、このジャケット及びアルバム・タイトルからしてギルの気合いの漲りを感じさせるが、アムネジア・エクスプレスの演奏にもグルーヴが漲り、ミッドナイト・バンドほどとは言わないまでも、肉体的なバンド・サウンドをかなり取り戻している。
ソリッドなジャズ・ファンク・ナンバーの「Fast Lane」、クールなアーバン・ジャズ・ファンク「Washington D.C.」、渋いミドルの「Blue Collar」、ファンキーなダンス・ナンバー「Explanations」、「Black History / The World」は、ベースとパーカッションがウネりを生むジャズ・ファンク・トラックをバックにポエトリー・リーディングを乗せる。
「No Exit」「Ready Or Not」はレゲエ調の曲で、この辺りにもスティーヴィーの影響を感じさせる。