life on mars
Life On Mars / Dexter Wansel
 Philadelphia International '76 

フィラデルフィアのファンク・バンド、イエロー・サンシャインのメンバーとして活動後、70年代後半にはプロデューサー/アレンジャー/ソングライターとしてフィリー・ソウル・シーンを支え、ソロ・アーティストとしてもアルバムを残した鍵盤奏者、デクスター・ワンゼル。
本作『Life On Mars』は1stソロ作。自身のバンド、ザ・プラネッツを中心に、インスタント・ファンクのメンバーやMFSBのストリングス&ホーン・セクションを贅沢に起用しシグマ・スタジオで録音。アルバム・タイトルや70年代的なSF観を体現したジャケットからも分かるとおり、ここで聴けるのはシンセサイザーを駆使したスペイシーなジャズ・ファンク・サウンド。70年代のフィリー作品としてはかなり異色で、むしろウェルドン・アーヴィン『Cosmic Vortex』『Spirit Man』あたりと並べて聴きたいアルバム。

アルバムのオープニング・ナンバー「A Prophet Named K.G.」は、さながら宇宙を舞台にしたブラックスプロイテーション映画のサントラといった趣きのスリリングなコズミック・ジャズ・ファンク。
アルバム・タイトル曲「Life On Mars」はスペイシーでブギーなジャズ・ファンクで、コレはなかなかのカッコよさ。「Together Once Again」はテリー・ウェルズがヴォーカルを取るメロウなスロウ。「Stargazer」は豪奢なストリングスとホーン・セクションが重なるシンフォニック・ジャズ・ファンク。

「One Million Miles From The Ground」はまったりと浮遊するミディアム・ナンバー。「You Can Be What You Wanna Be」はグルーヴィーなファンク・チューンで、ファルセット・ヴォーカルということもあってアース風。
「Theme From The Planets」はサンプリング・ネタとしても広く知られたジャズ・ファンク・チューン。個人的にはデジタル・アンダーグラウンド「Gutfest '89」でのサンプリングが印象深い。ラストの「Rings Of Saturn」もスペイシーに広がるジャジー・ナンバー。