soul of black movie

『Superfly T.N.T.』のレヴューを書くのに、ふと思い出し押入れから引っ張り出して久々に読んでみたこの本。

2001年に刊行された、70年代のブラックスプロイテーション映画のガイド・ムックで、おそらく日本では他に類書のない貴重な作品。70年代当時数多くの黒人映画が制作されたが、本書ではそのほとんどを網羅しているのではないかと思わせる圧倒的な情報量を誇る。
映画及びサウンドトラック盤の解説はもちろん、アメリカ公開時のもののみならず、日本公開用のポスターなどもフルカラーで大量に収められていて、パラパラと捲って眺めているだけでも楽しめる。この分野の最大のアイコンであるパム・グリアをはじめ、ジム・ケリーやフレッド・ウィリアムソンなどのブラック・ムービー・スター達の特集記事も読み応えアリ過ぎ。

スリリングなストリングスや勇壮なホーン、チキチキと焦燥を駆り立てるハイハット、軋みをあげて掻き毟るワウ・ギターなど、ブラックスプロイテーション・ムービーのヒリヒリとした緊張感を演出する真っ黒くファンキーなサウンドが、まるでこの本からも聴こえてくるようで、非常に素晴らしい。
本書に掲載されているサウンドトラック・アルバムを片っ端から集めたくなってくるのは困りモノだが、読み物としてもディスク・ガイドとしても実用性の高い一冊。

どうやら2003年には表紙も新たに改訂版が刊行されているようで、内容がどのように改訂されているのか気になるところ。