slaughterhouse
The Slaughterhouse / Prince
 NPG '04 

本作『The Slaughterhouse』は、 『Chocolate Invasion』同様、2000年代初頭にNPGMCからデジタル配信された楽曲群を、2004年に改めてアルバム単位にまとめて配信リリースされたモノ。
個人的には、当時は完全にスルーしていた作品。プリンスが何を考え何をやっているのか理解できなかった頃で、NPGMCを中心とした活動は特に見えづらかった。正直なところ、当時『Chocolate Invasion』や『The Slaughterhouse』のような作品の存在自体を認識していたかどうかも疑わしかったりする。

自分が本作をようやく聴いたのは2年前、プリンスの亡くなった後のこと。しかし、これは聴かずに放置しておくのは勿体ない内容。プリンスがほとんど1人で打ち込みから演奏まで行った本作は、同時期の『Musicology』のようなメジャー・リリースされた作品に比べると、かなりシンプルで淡白な閉じた印象も受ける。しかしこの、ヤスリをかけて磨き抜かれる前の生身のプリンス・サウンドが素っ気無く並べらたような本作は、モノ凄くイイ。
先日、ソニーからデジタル配信が開始された90年代後半から2010年までの作品群の中に『Chocolate Invasion』と本作も含まれ、ようやく気軽に聴くことができるようになったことは喜ばしいことだが、やはりコレはいずれはフィジカルでリリースしてほしいところ(今だデジタルには抵抗があるので)。

アルバムのオープニング・ナンバー「Silicon」は、シンプルなリズム・トラックに念仏調のブツブツ呟くようなラップが乗る、クール&ストイックなファンク・チューン。「S&M Groove」はヴォーカルもギターも粗く加工されたソリッドなミッド・ファンク。「Y Should I Do That When I Can Do This?」はブレイクビーツ的なドラム・ループに高速ラップとホーン・セクションを乗せるヒップホップ・ファンク。
「Golden Parachute」は、ややR&B的なサウンドに寄ったミドル・テンポのスムーヴ・チューンで、コレはなかなか気持ちイイ。「Hypnoparadise」はスムーズに流れるようなダンス・トラックで、ディスコやハウスを思わせる軽めのつくりながら実に爽快なグルーヴ。

「Props 'N' Pounds」は重たいリズムをポップに弾ませたミディアムで、マーヴィン・ゲイ「What's Going On」風の展開を上手く織り交ぜる。「Northside」はファンキーにホーンを散らすジャズ・ファンク・ナンバー。「Peace」は90年代前半によくやっていたような、厚ぼったいリズムのファンクで、こういうのも今は面白く聴ける。ベースはラリー・グラハムで、ラリーの低音ヴォーカルも聴ける。
「2045:Radical Man」はクールに淡々と進行していく地味渋曲だが、この手の曲ならずっと聴いていられる。ラストの「The Daisy Chain」は重いビートが轟くゴリゴリのヘヴィー・ファンクで、ラリーの歪んだベースも恐ろしく凶暴。