give get take and have
Give, Get, Take And Have / Curtis Mayfield
 Curtom '76 

70年代前半に怒涛の勢いでニュー・ソウル名盤をリリースし続けたカーティス・メイフィールド。
商業的には『Superfly』がピークで、次の『Back To The World』もソウル・チャート1位を記録したものの、以降は売上規模が縮小。75年の『There's No Place Like America Today』は稀代の名盤の誉れ高いが、セールス的には大惨敗だったようで、さすがのカーティスも路線転換を余儀なくされる。
本作『Give, Get, Take And Have』は、カーティスがラヴソング中心のスウィートなソウル・ミュージックへとシフトした最初の作品。前作までのカーティス・サウンドを特長づける、ドラムスとベースが繰り出すタイトでドライなグルーヴ、糸を引くように絡みつくワウ・ギター、ヒリヒリと鼓膜に張り付くようなカーティスのファルセットは、本作では随分とマイルドで耳障りのよいソフトなモノになっている。

演奏陣は、”マスター” ヘンリー・ギブソン、ジョセフ ”ラッキー” スコット、フィル・アップチャーチ、ゲイリー・トンプソンなど、アレンジャーはリッチ・テューフォ、エンジニアはロジャー・アンフィンセンと、前作と同じ面子が顔を揃えるが、ドラムスはクイントン・ジョセフからドネル・ヘーゲンに替わっており、このあたりがサウンドの質感の変化に繋がっているように感じる。また、アルバム全編にわたってキティ・ヘイウッド・シンガーズがバック・ヴォーカルを付けており、カーティスとコーラス隊との絡みが本作以降の作品の特徴のひとつとなっている。
この路線の作品としては、円熟極まった次作『Never Say You Can't Survive』がベストだと思うが、本作もそれ以前の傑作群とは比べられないものの、同時代のソウル・アルバム、例えばマーヴィン・ゲイ『I Want You』やジョニー・ブリストル『Bristol's Creme』あたりと並べて聴きたい好盤と思う。

アルバムのオープニング・ナンバー「In Your Arms Again(Shake It)」は、ノッケからカーティスのねっちょりファルセットがいつになくエロい、スウィートでユルユルなファンキー・ナンバー。そう、本作のカーティスのヴォーカルの艶っぽさは以前の作品では聴かれなかったモノで、耳元で纏わりつくような掠れたファルセットに何だかゾクゾクする。
「This Love Is Sweet」はギターとパーカッションのユルいリズムが気持ちいい脱力系ミディアム。「P.S. I Love You」はスウィートでテンダーなスロウ。「Party Night」はディスコ・ナンバーだが、細かく跳ね回るパーカッションとワウ・ギターがなかなかファンキー。

「Get A Little Bit(Give, Get, Take And Have)」はグルーヴィーなミドル・チューンで、快活なヴォーカル・ワークとホーン&ストリングス・アレンジが聴きモノ。「Soul Music」はタイトルが何をかいわんや、自然と腰が揺れる滋養溢れるソウル・ミュージック。
「Only You Babe」はまったりムーディーなスロウ。ラストの「Mr. Welfare Man」はニュー・ソウル期を彷彿とさせるようなスリリングなストリングスが緊張感を生むファンク・ナンバーで、カーティスのファルセットにも切迫感が宿る。