Electric Africa / Manu Dibango
Celluloid '85
「Soul Makossa」の世界的ヒットと数多くのカバーの恩恵を受けて、長きに渡り活動を続けたマヌ・ディバンゴ。
本作『Electric Africa』は、そのタイトルが示すとおり、シンセサイザーやデジタル機材を大胆に用いた作品。80年代半ば、生ドラムを排し打ち込みのビートに頼るのは時代の要請でもあったろうが、マヌ自身がマシンの刻むリズムやデジタルなサウンドに触発を受け、意欲的に制作にあたったであろうことが想像できる、なかなか楽しい作品になっている。
プロデュースを担ったのはビル・ラズウェル。80年代後半から90年代にかけて、機械的なデジタル・サウンドと肉体的なファンクやエスノな要素を結びつける実験を行っていた人で、ブーツィーやバーニーなど、求心力の低下したクリントンから距離を置くようになったPファンクのメンバーの面倒もいろいろと焼いていた。Pファンクのファンからはあまり評判がよろしくないように思うビルだが、そのプロデュース作には無視できないモノもなかにはある。本作もそんな作品のひとつと言える。
本作には、当時のビル人脈からハービー・ハンコックとバーニー・ウォーレルという大物鍵盤奏者2人が参加。
「Pata Piya」はバーニー・ウォーレルとウォーリー・バダルーが参加。ニュー・ウェーヴ的なサイバーなサウンドながら、アフリカンなタイム感も同時に存在する、なかなか興味深い曲。
残り3曲はいずれも、「Rock It」でビルと共闘したハービー・ハンコックが参加。アルバム・タイトル曲の「Electric Africa」は、まさにエレクトリックなアフロ・ファンク・ナンバー。打ち込みのビートにも土着的な臭いがべったり染み付いている。「Echos Beti」はマシーン・ビートを補強する太いベースのグルーヴに、トランペットやら肉声やらが垂れ流される。「L'arbre A Palabres」はゆったりリズムを刻む大陸的なナンバーだが、終盤リズム・チェンジして怒涛の展開。
コメント
コメント一覧 (2)
普段聴かないアーティストを知るきっかけにもなって、そこから本来(笑)のスタイルを知るって事も多々あり。
Pファンク勢を集めても彼が手掛けると濃さが薄れてしまうのが残念ですが。
以前、タブラ奏者のザキール・フセインを含むTabla Beat Scienceの来日に関わりアテンドしたときあの風貌からは想像できない物静かな人柄に戸惑った思いがあります。
クレジット見てビル・ラズウェルの名前があったら買うの躊躇してしまいますね(笑)
たぶん真面目な人なんでしょうね。面倒見よくて、お金の面でもキッチリしてるので、いろいろとルーズなクリントンに騙されてきた(?)Pファンクの連中からの信頼は厚かったんでしょうね。