8th day
8th Day
 Invictus '71 

インヴィクタス/ホット・ワックスを代表するグループのひとつで、デトロイトの傑出したソウル・シンガーであるメルヴィン・デイヴィスを擁するエイス・デイ。
何やら禍々しい雰囲気の悪魔のようなイラストのジャケットの1stアルバムとなる本作や、2nd『I Gotta Get Home(Can't Let My Baby Get Lonely)』のジャケに写るメンバーの、ファンカデリックか初期バーケイズのようなファンク・ロック・バンドみたいな出で立ちを見ると、例えばマッキンリー・ジャクソンのポリティシャンズのような内容を想像してしまうが(実際、ライマン・ウッダードなども参加した2ndアルバムはそんな感じでもあるが)、この1stアルバムは当時のデトロイト・ソウルの粋がギュッと詰まったような作品で、内容は文句なく素晴らしい。
しかし、このグループのアルバムとしての評価という意味では、手放しで絶賛することは躊躇われる部分もあるかもしれない。

その理由は、本作の最初と最後に収められた2曲にある。
ファンク感覚も滲むカッコいいミドル・チューン「She's Not Just Another Woman」と、滑らかさの中にも心地よいザラつきのあるミディアム・ソウル「I've Come To Save You」。いずれも素晴らしい楽曲なのだが、この2曲は100プルーフ・エイジド・イン・ソウルの1stアルバム『Somebody's Been Sleeping In My Bed』に収録されたものと同じ。つまり、この喉を絞り上げるような歌唱はメルヴィンではなくスティーヴ・マンチャだというのは、ソウル・ファンにはよく知られた話だ。
モータウンにしろスタックスにしろ、同じレーベルに所属するグループやシンガーの間で、同じ楽曲を(場合によってはオケも)使い回してカバーすることは、ソウルのレーベルにはよくあることだが、ヴォーカルも含めて丸々別のグループのアルバムに収録するなんてことが何故起こったのか(しかもアルバムのトップとラスト)、理由はよく分からないが、楽曲自体は文句のない出来なのは言うまでもない。

もちろん、このグループの魅力はこの2曲以外の楽曲でたっぷりと味わうことができる。そして、その魅力の大半はメルヴィンの歌唱に負う部分が大きい。
なかでも、硬質なパーカッションの乾いた鳴りがファンキーなデトロイト・ソウル「You've Got To Crawl(Before You Walk)」での、抜群のノリを見せるメルヴィンのダイナミックの歌唱は圧巻。「Too Many Cooks(Spoil The Soup)」も100プルーフの1stアルバムに入っていた曲だが、ここではメルヴィンが歌っており、マンチャに負けじとファンキーなノーザン・ビートをグイグイと乗りこなす。他にも、情感豊かな歌唱が聴ける「Just As Long」、男泣きのバラード「I'm Worried」と、どの曲も素晴らしい。

アルバムの残り3曲は、どうやら別の人が歌っているようだが、これらの楽曲も出来が良い。サム・クック唱法で気持ちよさそうに歌う「La-De-Dah」、キャッチーなフレーズを折り込んだ溌溂と弾むモータウン調「Eeny-Meeny-Miny-Mo(There's A Crowd)」、哀愁滲むスロウ「I Can't Fool Myself」は哀愁滲むスロウ。
いろいろと歪なアルバムではあるが、これは間違いなく名盤。