heard ya missed me well im back
Heard Ya Missed Me, Well I'm Back / Sly & The Family Stone
 Epic '76 

1975年の、スライ初のソロ名義でのリリースとなった『High On You』は、どこか吹っ切れたような明るさと力感漲るファンクを一部の楽曲で取り戻した、実はなかなかの佳作だったと思うのだが、再びバンドを率いて録音に臨んだ次作『Heard Ya Missed Me, Well I'm Back』はどうか。

まず、再々編された本作でのファミリー・ストーンは、以前とは大きく面子が異なっており最早別のバンド。かつてのメンバーで本作にも名を連ねているのは、オリジナル・メンバーではシンシア・ロビンソンのみで、あとは『Fresh』からコーラス参加の元リトル・シスターのスライの末妹、ヴェットのみ。
フレディーやジェリー・マルティニ、ラスティー・アレン、ビル・ローダンらは『High On You』には部分的に参加していたのだが、本作にはクレジットなし(ローズは『Small Talk』を最後にバンドを離れ、モータウンからソロ・デビュー)。長年のバンド・メンバーのみならず実の弟妹たちでさえ、スライに愛想を尽かし去って行ってしまったのだろうか。
バンドに残ってスライを支えたシンシアは、この時既にスライとの間の子を生んでおり、腐れ縁というか惚れた弱みというべきか。チンドン屋風情でオドけた表情を見せるジャケットも、スライらしいと言えばらしいが、何かもの悲しくもあり。

アルバムの出来としては、『暴動』『Fresh』以降の右肩下がりの傾向はそのまま。『High On You』よりは多少落ちるが、後のワーナーの2作よりは随分マシ。新機軸を打ち出した曲もあったりして、これまでにないほど幅広いタイプの楽曲を収めている。それなりに聴きどころもあり、決して駄作ではないと思う。

冒頭のアルバム・タイトル曲「Heard Ya Missed Me, Well I'm Back」は、パーカッションが鮮やかに彩るラテン・テイストのポップでグルーヴィーな佳曲で、スライには珍しいタイプの曲。「What Was I Thinkin' In My Head」は本作中で最も快活な印象を与えるファンク・ナンバー。女性シンガーをフィーチャーしたドゥーワップ調バラード「Nothing Less Than Happiness」、ブギウギ風のファンキー・ナンバー「Sexy Situation」、「Blessing In Disguise」は「If You Want Me To Stay」系の哀愁メロディーを爽快グルーヴに包んだポップ・チューン。

「Everything In You」は初期ファミリー・ストーンを思わせるコーラス・ワークも出てくるミディアム・ナンバー。ムーグ・シンセがウニャウニョと這いずるファンク「Mother Is A Hippie」、ストリングス、ホーン、パーカッションで分厚い装飾を施すファンク・ナンバー「Let's Be Together」、思いのほかヘヴィーなボトムでグイグイ迫るファンク「The Thing」、皮肉なタイトルのラスト・ナンバー「Family Again」はドラム・ブレイク入りのファンク・ジャムでコレもなかなか。