hard groove
Hard Groove / The RH Factor
 Verve '03 

ソウルクエリアンズ3部作から3年、ロイ・ハーグローヴが始動したジャズ/ファンク/R&B/ヒップホップ・プロジェクト、RHファクターの1stアルバム『Hard Groove』。
『Voodoo』『Like Water For Chocolate』 、そして『Mama's Gun』は、いずれの作品にも通底する共通したムードというものが確かに存在するが、ハーグローヴの演奏するトランペットはそういったムードを醸成する鍵のひとつだったように思う。
一方でこの3作は、当たり前だがそれぞれに異なる色も持ち合わせる。ざっくり言ってしまえば、『Voodoo』がファンク、『Like Water For Chocolate』がヒップホップ、『Mama's Gun』がR&B/ソウル、ということになるが、本作『Hard Groove』はその3作の色とハーグローヴの色であるジャズを混ぜ合わせて描き出されている。4つの色の調合具合は曲により様々で、単色に近い曲もあればマーブル状の曲もあり、なかには肌理細やかに溶け合い新たな色を見せる曲もある。

RHファクターのメンバーとして名を連ねるのは、ピノ・パラディーノ、ジェイムス・ポイザー、スパンキーといったクエリアンズ作品をハーグローヴとともに支えたミュージシャンの他、コーネル・デュプリー、バーナード・ライト、キース・アンダーソンなどの名手たち。
曲ごとにゲストとして、盟友のディアンジェロ、コモン、エリカ・バドゥをはじめ、ミシェル・ンデゲオチェロ、Qティップ、スティーヴ・コールマン、カール・デンソン、アンソニー・ハミルトン、シェルビー・ジョンソン、ジャネイのレネ・ヌフビルなどが華を添える。

アルバムはクールなジャズ・ファンク・ナンバー「Hardgroove」からスタート。「Common Free Style」はタイトルのとおり、コモンがラップを乗せるストリート感たっぷりのジャズ・ファンク。ディアンジェロ客演のファンカデリック「I'll Stay」のカバーは、まるで『Voodoo』セッションの延長線上にあるようなルーズでブルージーなスロー・ファンクで、個人的には本作のベスト。
キース・アンダーソンのサックスをフィーチャーしたファンキーでカッコいい「Pastor "T"」、Qティップのラップ、バドゥのヴォーカル、そしてミシェルがベースを弾く「Poetry」は美しいネオ・ソウル/ジャジー・グルーヴ。ズッシリとした重いグルーヴの「The Joint」、歌モノR&Bの良曲「Forget Regret」、「Out Of Town」はスリリングなジャズ・ファンク・チューン。
ポイザーのピアノが甘く蕩けるジャジー・メロウ「Liquid Streets」、どこかディラっぽいムードの「Kwah / Home」、シェルビーJがヴォーカルを取る「How I Know」、レネのフワっとしたヴォーカルが舞う「Juicy」、ラストは叙情的なジャズ・ナンバー「The Stroke」でクロージング。