them changes
Them Changes / Buddy Miles
 Mercury '70 

ジミ・ヘンドリクスのバンド・オブ・ジプシーズのドラマーとしてあまりにも有名なバディー・マイルズ。
ジプシーズで名前を売った後は、カルロス・サンタナなどと共演するなど活動の場を更に拡げた。ジプシーズ以前から自身のリーダー作もリリースしており、結構な枚数に上る。
やはりロック畑のドラマーという印象が強く、彼のソロ・アルバムにはこれまでなかなか手が出なかった。唯一持っていたのが1974年の『All The Faces Of Buddy Miles』で、これはジョニー・ブリストルの全面プロデュースによる、シンガーとしてのバディーに焦点を当てたソウル・アルバムで、彼のキャリアにおいては異色作だろう。

斯様に、ファンク/ソウル耳の自分にとっては縁遠い存在だったバディー・マイルズだが、以前から気にかかっていたのがスライとの関係。『暴動』の裏ジャケの無数のコラージュ写真の中にバディーの姿もあるため、ずっと気になっていたのだ。『暴動』セッションが行われていた頃にスライのスタジオに出入していたとされる著名ミュージシャンには、マイルス・デイヴィス、アイク・ターナー、ビリー・プレストン、ボビー・ウォマックなどがいるが、バディーもセッションに参加していたのだろうか。
グレッグ・エリコの脱退により、『暴動』は主にスライ自身とジェリー・ギブソンなる人物がドラムを担い、更にリズム・ボックスで補強した。バディーがドラムを叩いているという話は聞いたことがないが、『暴動』へ至る実験の数々をコンパイルした『I'm Just Like You : Sly's Stone Flower 1969-70』で明らかとなった、リトル・シスター「You're The One」の未発表テイクのドラムスはバディーなので、『暴動』の録音にも顔を出していたとしても何ら不思議ではない。実際にバディーの演奏が使われたかどうかは分からないが。

そんなことをまた最近考えたりしていたら、『暴動』前後のバディーの作品を聴いてみたくなり、買ってみたのが70年リリースの『Them Changes』。
『Band Of Gypsys』にはバディーが作曲しリード・ヴォーカルも取った曲があるが、「Changes」と「We Gotta Live Together」がソレ。前者はキング・カーティスの名ライヴ盤『Live At The Fillmore West』での熱演でも有名(後者はスライ「Sing A Simple Song」のフレーズも飛び出すファンク・ロック)。バディーの代名詞とも言えるその曲をアルバム・タイトル、及び1曲目に持ってきた本作は、ファンキーではあるがやはりロック・アルバムと言った方がしっくりくる。

ファンキーなノリがあるのはジプシーズ同様にビリー・コックスがベースを弾く「Them Changes」と、ブルージーなファンキー・ロック・ナンバーの「Memphis Train」、くぐもったオルガンがスウィンギーなソウル・ジャズ・インスト「Paul B. Allen, Omaha, Nebraska」あたり。
歌い手としても自信を持っていたようで、オーティス・レディングの「Your Feeling Is Mine」にも挑戦。「Heart’s Delight」もサザン・ソウル調のジャンプ・ナンバー。「Dreams」のようなロック・ナンバーにも黒いリズムが滲む。フォーキーな「I Still Love You, Anyway」みたいな曲は正直言って面白くないが、ニール・ヤング「Down By The River」のカバーはロック不感症の自分にも何か響くものがある。