cold blood
Lydia Pense & Cold Blood
 ABC '76 

最初の2枚はビル・グラハム主宰のサンフランシスコ・レーベルから、3作目以降はワーナー/リプリーズからと、70年代半ばまでに5枚のアルバムをリリースした西海岸の大型ファンク/ロック・バンド、コールド・ブラッド。
当初から紅一点のヴォーカル、リディア・ペンスを前面に押し出したバンドだったが、ワーナーを離れABCに移籍してリリースした6作目となる本作は、ついに名義がリディア・ペンス&コールド・ブラッドとなってしまった。こういう風にバック・バンド扱いになると大抵バンド運営は上手くいかなくなるもので、コールド・ブラッドは本作を最後に解散(21世紀に入って再結成)。

ジャケットも何だか安っぽい本作だが、内容は充実。初期の頃のブルース・ロック的なアプローチや、このバンドの大きな特徴のひとつだった(ベイエリアのバンドの多くの特徴でもあった)ラテン・フィールは本作ではほとんど消滅、代わりにファンク度が大幅に増している。これは前作『Lydia』でも見られた傾向だが、より直球のファンク・サウンドを聴かせる本作をして、普通のファンク・バンドになってしまったという感も否めない部分はあるが、ともあれ、結果的にはコールド・ブラッド史上最もファンキーなアルバムに仕上がった。

アルバムのオープニング・チューン「We Came Down Here & Cold Blood Smokin'(Medley)」は、陽気なパーティー・ファンクの前半部分に、タイトなベースがグルーヴィーなベイエリア・ファンクの後半と、いずれもグイグイとノリのいいファンク・ナンバー。
「I Get Off On You」は、奇妙に蠢くシンセや壮大なストリングスなど、凝った展開のファンク・チューン。ブルージーなファンクの「Drink The Wine」、ウェスト・コーストの風に吹かれる爽快なメロウ・ミディアム「I Got Happiness」、「Feel The Fire」は太く硬質なベースが強力なグルーヴを生むジャズ・ファンク・チューン。

「Let Me Be The One」は分厚いバンド・サウンドとホーン・セクションが一体となったアーバンなムードのファンク・ナンバーで、個人的には本作のベスト・トラック。
「Back Here Again」は、74年に録音されるも当時は未発表、2002年になって編まれたベイエリア・ファンクのロスト・ジェムズ・コンピレーション『Welcome To The Newsroom』収録のポール・ティルマン・スミスの同名曲のカバー(77年にはノーマン・コナーズのプロデュースでスミスも大きく関わったグループ、ヴァイタミンEの『Sharing』でも取り上げられている)。オリジナルがパーカッシヴで乾いたベイエリア・ファンクだったのに対し、コールド・ブラッド版はよりストレートな勢いのあるファンク・ナンバーになっている。

「I Love You More Than You'll Ever Know」は、『First Taste Of Sin』のプロデューサーでもあるダニー・ハサウェイの名唱でも知られるアル・クーパーのカバー。苦悩の淵で身悶えるようなダニー版のどうしようもない重さとは比べられないが、リディアの歌も十分にブルージー。
唸るファズ・ギターと引っ掻くようなワウ・ギターがカッコいいファンク「Blinded By Love」、ラストの「It Takes A Lot Of Good Lovin'」は快活なファンク・ロック・ナンバー。