diana brown
The Black, The White, The Yellow And The Brown(And Don't Forget The Redman) / Diana Brown & Barrie K. Sharpe
 FFRR '92 

自称、グラウンド・ビートのオリジネイターであるDJ/プロデューサーのバリー・K・シャープが、女性シンガーのダイアナ・ブラウンとコンビを組んでリリースした唯一のアルバム『The Black, The White, The Yellow And The Brown(And Don't Forget The Redman)』。
一般的には、グラウンド・ビートのオリジネイター=ジャジーB率いるソウルⅡソウルだろう。シングル「Keep On Movin'」「Back To Life」、アルバム『Club Classics Vol. One』がUK国内に留まらずUS、そして世界中で大ヒットを記録。グラウンド・ビートのあの地を這うようなグルーヴは、ソウルⅡソウルによって全世界に流布されていった。
他方、ダイアナ・ブラウン&バリー・K・シャープは、ソウルⅡソウルの成功を横目に、80年代末から90年代初めにかけてシングルを数枚リリース。ロンドンのクラブ・シーンでは注目を集めたようだが、アルバムのリリースはグラウンド・ビート旋風もすっかり影を潜めた92年まで待たなくてはならなかった。
自分も、90年頃はソウルⅡソウルの1stアルバムを夢中で聴きまくっていたが、彼らのことはまったく知らなかった。その存在を知ったのはやはり92年の本作を聴いてからだった。

本作の収録曲中、グラウンド・ビートだと言えそうな曲は僅か。既に時代はアシッド・ジャズへと向かっており、ヤング・ディサイプルズ『Road To Freedom』やガリアーノ『A Joyful Noise Unto The Creator』などの優れた作品がリリースされた頃。ここで聴ける楽曲も、アシッド・ジャズやレア・グルーヴ的なサウンドが中心で、ミック・タルボットやジェイムス・テイラーといったアシッド・ジャズ界隈の顔役たちも参加している。
曲間にいちいち挿入される単調なハミングのインタールドは不要だが、グルーヴィーでカッコいいトラックと耳馴染みのよいキャッチーなメロディーが上手く噛み合った、今聴いても十分に楽しめるクオリティーの高い楽曲が詰め込まれた良作。

「Masterplan(Ropeman Mix)」はフレッド・ウェズリー&JB's「Blow Your Head」のムーグが轟くオープニングからテンション上がるグルーヴィーなジャズ・ファンク・ナンバー。ギター・カッティングをファンキーに刻む開放感溢れるダンス・チューン「Colours(Black, White, Yellow, Brown, Red)」、冒頭のシタールの音に掴まれる「Eating Me Alive」も盛り上がること必至のダンス・ナンバーで、途中でこれぞグラウンド・ビートなリズム・パターンも挿入。
「No Turning」はクラヴィネットとワウ・ギターが蠢くジャズ・ファンク。ダブっぽい太いグルーヴにポップなメロディーが映える「Hear My Prayer」、メイシオ&ザ・マックス「Cross The Tracks」、フレッド・ウェズリー&JB's「I'm Payin' Taxes, What Am I Buyin'」のギターをサンプリングしたジャズ・ファンク・チューン「Don't Cross The Tracks」、グルーヴィーに疾走するダンス・トラック「Love Or Nothing(Onceller Mix)」は初期スライ調のコーラスも聴かれる。
くぐもったオルガンとワウ・ギターにファンクネス宿るミドル「Tell It Like It Is」、本作中唯一のゴリゴリのグラウンド・ビート・ナンバー「Sunworshippers」は、地を這うようなベースのウネりとパーカッシヴなグルーヴが強力。ラストの「Free」はクラヴィがグシャグシャと蠢くファンキーなダンス・チューン。