times have changed
Times Have Changed / The Impressions
 Curtom '72 

ソウル・ヴォーカル・グループのスタイルを確立したと評されるインプレッションズ。「People Get Ready」をはじめとする60年代半ばまでの作品が今も高く評価されているのに対し、60年代末から70年代初め頃までの作品は、どうも過小評価されてきたように感じるが、このニュー・ソウル期のアルバムも傑作揃いだ。
「We're A Winner」を皮切りに、インストゥルメンタル・パートをよりファンキーに尖鋭化させ、ソウル・ヴォーカル・グループの枠から逸脱し表現の幅を拡大。その後ソロ活動へと転じたカーティス・メイフィールドだが、グループを離れた後もインプレッションズの楽曲のほとんどを作曲し、アルバムのプロデュースを続けた。
つまりこの70年前後のインプレッションズの作品は、必然的に『Curtis』『Roots』『Superfly』などの野心作と地続きのサウンド、雰囲気を醸している。

72年の本作『Times Have Changed』は、カーティス脱退後初となるアルバム。
ダニー・ハサウェイのハワード時代のルーム・メイトで、ダニーの「The Ghetto」の共作者でもあったリロイ・ハトソンをカーティスの後釜としてリード・シンガーに据えた。ただし、本作でリロイが単独でリードを取る曲はそう多くはない。カーティス自身、圧倒的な技量で引っ張るタイプのリード・シンガーではなかったが、本作ではリロイとサム・グッデン、フレッド・キャッシュの3人の掛け合いやヴォーカル・ワークに重点が置かれているように思う。
サウンド的には、カーティス在籍時代の最終作である前作『Check Out Your Mind!』の延長線上であり、カーティスのソロ作とも共通するファンキーでグルーヴィーなニュー・ソウル・サウンド。そこに伝統的なシカゴ・マナーのソウル・ナンバーをバランス良く配置している。
前々作『The Young Mods' Forgotten Story』と同じく、インプレッションズ×コートは最強の組み合わせだということを証明するジャケットのカッコよさも含めて、非常に充実した内容を誇る作品。

アルバムの幕開けを飾る「Stop The War」は、グリッティにエッジを刻むパーカッションやサイケなファズ・ギター、スリリングなストリングスなどがカーティスの「Get Down」あたりを思わせる、ストリート臭漂うファンキーなニュー・ソウル・ナンバー。
アルバム・タイトル曲の「Time Have Changed」のリード・ヴォーカルはリロイだろうか?この円やかな味わいのテナーは、やや青臭さの残るリロイの歌声とは違うようにも聴こえるが、いずれにしろ極上のシカゴ・ソウル・ナンバーを聴かせてくれる。
マーヴィン・ゲイ「Inner City Blues」のカバーも、分厚いオーケストレーションを施したカーティス流のプログレッシヴ・ソウルに改変。「Our Love Has Goes On And On」もグルーヴィーなニュー・ソウル・チューン。

「Pontent Love」はラテン・パーカッションとストリングスが並走するグルーヴィーなストリームが気持ち良過ぎる。3人のヴォーカル・ワークもシカゴ流儀の流麗さで爽快に疾走する、これは素晴らしい楽曲。
「I Need To Belong To Someone」はニュー・ソウル味とオーソドックスなシカゴ・ソウルが・テイストがいいバランスで共存したミディアム・ナンバー。リロイ作曲の「This Loves For Real」は、リロイがいつもの青臭さのあるファルセットでリードを取る。ラストの「Love Me」もリロイのリードで哀愁を帯びたアップ・ナンバー。