chronicles of the soul
Chronicles Of The Soul / Montrel Darrett
 EMI Gospel '99 

ディアンジェロの『Brown Sugar』以降、マックスウェルやエリック・ベネイ、ラサーン・パターソン、エリカ・バドゥなど、いわゆるニュー・クラシック・ソウルと(日本では)呼ばれる一連の流れの中で才能ある多くの新進アーティストが頭角を現してきたが、このモントレル・ダーレットもその中の1人。

元々はゴスペル畑の人のようで、本作もゴスペル系のレーベルからリリースされているが、ここで聴けるのは生音のリッチなサウンドにラップも自然に取り入れた、まさにニューとクラシックが交差する音。ファルセットと地声を行きつ戻りつ漂うそのヴォーカル・スタイルも含め、当時はディアンジェロ・フォロワーという見方をされていたのも仕方がない部分はあるが、本作は『Brown Sugar』よりもファンク度高めで、曲によってはこの翌年にリリースされる『Voodoo』を先駆けていたようなサウンドもあったりする。
個人的には、当時は『Brown Sugar』よりも本作の方を気に入っていて、後に『Voodoo』を聴いた時もモントレルっぽいと思ったほど。その後を期待していたのだが、結果的にこの1枚のみで終わってしまったのは残念。

もっさりアーシーな重いノリに激しく揺さぶられる「Tough Love」、張りつめたスネアが突き刺すクールな「Issues」、バウンシーなリズムにラップ調のヴォーカルを乗せる「Shakedown」と、アルバム冒頭のミッド・ファンク3連発が本作のカラーを決定付ける。この辺りの曲は『Voodoo』にも通じるような重く泥臭いファンクネスが脈々とウネっていて最高。
鄙びたオルガンの音色に絆されるミディアム「Oh What A Friend」は、ディアンジェロ「Send It On」を思わせる仄温かいソウル・ナンバー。

ファルセット混じりに狂おしく歌うスロウ・ジャム「Hold On」、歪にゆがんだビートに目眩がしそうなファンク・チューンの「Move On」、「Free」はアコースティック・ギターの音色が温かくも涼やか。
太いベースとくぐもったワウ・ギターがウネウネと絡みつきグルーヴする「Rain」と、同系統ながらよりファンク・ビートが前面に出た「Soldier」あたりも、冒頭3曲に連なるようなファンク・ナンバー。スティーヴィーへの憧憬を滲ませる美メロ・スロウ「So Sorry」、ワウワウとウネりまくるミッド・ファンク「When It Comes Back Around」、ラストの「When The Party's Over」は弦の擦れる音が生々しく響くアコースティック・スロウ。