a good feelin
A Good Feelin' / William D. Smith
 Warner Bros. '76 

カナダを拠点に活動していたソングライター/鍵盤奏者のウィリアム・D・スミス。
シンガーとしても2枚のリーダー作を残しているが、本作『A Good Feelin'』はそのうちの1枚目のアルバム。
本作を制作するにあたり、スミスはニューオリンズのシーセイント・スタジオに赴き、アラン・トゥーサンにアルバムのプロデュースを請う。更に自作曲は全10曲中半分の5曲に留まり(そのいずれも共作)、残り半分はトゥーサンが作曲。
バックアップする演奏陣の中には、レオ・ノセンテリやジェイムス・ブッカーの名前もあるが、ここで聴けるサウンドはそれほどニューオリンズ色が濃いわけでもない。オーセンティックなソウル・ミュージックと言うよりも、都会的なAORっぽい楽曲が大勢を占めている印象だが、これはスミスの作曲家/シンガーとしての資質によるところが大きい。今で言うシティ・ソウル的な作品といったところか。

アルバムの収録曲は一聴して、トゥーサンとスミスの作風の違いがよく出ていると感じる。
トゥーサンのペンによるアルバムのオープニング・ナンバー「I'll Be Rolling(With The Punches)」は、重厚なムードのスロウで、ダニー・ハサウェイなんかにも通じるニュー・ソウル・テイストも窺わせる。
アーシーにゆったりとしたテンポで揺れる黄昏色のミディアム「I Feel So Good With You(Baby)」、ほのかな哀愁を漂わすメロディーがトゥーサンらしい「What Am I To Do(If You Say Goodbye)」といった曲は、まるで『Southern Nights』な湿度高めのメロウネスに浸る。ブギーなディスコ・ファンク・チューンの「We All Wanna Boogie」、ゴリっとしたリズムとクラヴィネットのグルーヴがファンキーな「Take Your Pick(Do Your Trick)」もトゥーサンの作。

一方、スミス自作の「Down The Back Stairs(Of My Life)」「We Flew Away」はAOR調のバラードで、この辺りはソウル・ファンの評価の割れるところか。スミスのヴォーカルはトゥーサンよりもずっとソウルフルではあるけれど。
スミス作の残りの曲はファンク寄りだが、アーバンなグルーヴを感じさせるのがトゥーサン曲との違い。コシの強いベースがグルーヴするファンク「Harmony Junction」、ファンキーなリズムを刻むミディアム「I Apologize」、グルーヴィーなダンス・ナンバー「Fooled Ya」など、ファンキー系の楽曲はなかなか楽しめる出来。