rockin you eternally
Rockin' You Eternally / Leon Ware
 Elektra '81 

何よりもソングライター/プロデューサーとして輝かしい功績を残したレオン・ウェアだが、シンガー/ソロ・アーティストとしても地道に活動を続けてきた。
1972年リリースのレオンの1stソロ・アルバムは、ジャケも内容も地味で内省的なニュー・ソウル系シンガー・ソングライター作品で、意外や土臭いスワンプ風味も薫る渋いアルバムだった。
その後、クインシー・ジョーンズ『Body Heat』やミニー・リパートン『Adventures In Paradise』への楽曲提供で徐々に注目を集めるようになったレオンの名が一躍知れ渡たったのは、言わずと知れたマーヴィン・ゲイ『I Want You』のプロデュース。一般的にイメージされるレオンの作風は、この『I Want You』でほぼ確立されたと言ってよく、これ以降レオンをプロデューサーとして起用する側は、『I Want You』のようなムードを期待して依頼していただろうし、レオン自身のソロ作も基本『I Want You』の路線を踏襲していたことは、70年代後半のレオン・ウェア・ワークス、― シリータ『One To One』、メリサ・マンチェスター『Don't Cry Out Loud』、自身の『Musical Massage』や『Inside Is Love』 ― を聴けば明らかだ。

本作『Rockin' You Eternally』は、レオンの80年代最初のアルバム。
ここでも基本的には従来のレオン・ウェア・サウンドが展開される。徐々にAOR化の傾向はあるが、本作でもめくるめくアーバン・メロウなサウンドの波が寄せては返す。ジャケットの、砂浜で謎の棒を担ぐレオンの姿も、アルバムのムードにマッチしている。
本作のトピックは大きく2つ。ひとつは、ブラジルの名シンガー・ソングライター、マルコス・ヴァーリと3曲を共作していること。互いの音楽性を思えば、この2人の邂逅は何ら違和感がないどころか、ごく自然に溶け合って素晴らしい成果を見せている。
もうひとつは、オハイオ・プレイヤーズのジェイムス ”ダイアモンド” ウィリアムズ、ビリー・ベック、クラレンス ”チェット” ウィリスの3人が演奏を担当していること。これはちょっと意外な顔合わせかと思いきや、3人は既にオハイオを脱退し新グループ、シャドウを結成。前年にレオンのプロデュースで1stアルバムをリリース済みで、そこでもレオンのカラーが色濃く出たメロウなサウンドを聴かせていた。

アルバムのオープニング・トラックの「A Little Boogie(Never Hurt No One)」はブギーなディスコ・ファンクでやや意表を付かれるが、続く「Baby Don't Stop Me」はマルコス、さらにピーター・セテラも共作に加わったアーバン・メロウ・グルーヴで、コレは流石の気持ちよさ。
「Sure Do Want You Now」はメロメロにメロウな極上サマー・ソウルで蕩けてしまいそう。「Our Time」はシャドウの面のファンクネスを湛えた演奏に腰が揺れるアーバン・グルーヴ。
アルバム・タイトル曲の「Rockin' You Eternally」はマルコスとの共作曲で、澄み渡るようなメロウネスに満たされたエレガントなアーバン・ソウル。「Got To Be Loved」もマルコスとのコラボレーション曲で、ジワリと忍び寄るようなクールなミディアム・ナンバー。メロウ極まるインスト・チューン「Don't Stay Away」、ラストの「In Our Garden」は都会派シティー・グルーヴで堪らんカッコよさ。