chocolate chip
Chocolate Chip / Isaac Hayes
 HBS '75 

アイザック・ヘイズで1番好きなアルバムは、1969年のエポック・メイキングな野心作にして出世作の『Hot Buttered Soul』で、あとは70年代前半のスタックス時代(正確に言えば傘下の傍系レーベルのエンタープライズ)の作品を数枚聴いてきたが、曲単位では気に入った曲はあっても、アルバムとなるとなかなか愛聴するに至るほどの作品がないのが正直なところ。
ファンキーな曲はカッコいいものが多いし、サントラものでは持ち味を発揮するが、例の低音ヴォイスで朗々と歌い語る冗長なバラード曲は催眠導入効果抜群のようで、聴いていて途中で意識が遠のいてしまうこともしばしば。バリー・ホワイトにしてもそうだが、この手のモノローグ混じりのバラディアー・タイプはどうも苦手だ。

なので、本作『Chocolate Chip』もあまり期待せずに聴いてみたのだが、これが思いのほかイイ。
スタックス倒産後、『Hot Buuterd Soul』に因んで名付けられた自主レーベルHBS(配給はABC)からの第1弾となる作品。だが、本作でもムーヴメントのメンバーが中心になって演奏をしているため、サウンド的にはスタックス時代から大きな変化はない。
アルバムの中心を成すのは、「Joy」系統のメロウでありつつもジワジワとファンクネスが滲むミディアム・グルーヴ曲で、これがなかなかの気持ちよさ。豪奢な弦アレンジも含め楽曲はよく練られていて、流石のマエストロぶりを発揮。バラード系が1曲のみなのも聴きやすさの理由ではある。

アルバムのオープニング・ナンバー「That Loving Feeling」から、ゆったりとしたミッド・グルーヴにヘイズの野太い低音ヴォイスが淫靡に響く。哀愁味を帯びたギターも沁みる。ネットリ纏わりつくようなリズムにムズムズと腰が揺れるスロウ・グルーヴ「Body Language」、アルバム・タイトル曲の「Chocolate Chip」は「Shaft」なワウ・ギターがウネるブラックスプロイ系ファンク・チューンで、インスト・ヴァージョンも収録。
「I Want To Make Love To You So Bad」もこれまたグルーヴィーなミドル・チューンで、狂おしく唸るファズ・ギターも効いている。「Come Live With Me」は十八番のムーディーで甘ったるいバラード。ラストの「I Can't Turn Around」はややポップな感じで弾むダンス・ナンバー。