funk express
Funk Express / Chuck Brown & The Soul Searchers
 Source '80 

70年代前半のソウル・サーチャーズのアルバム『We The People』『Salt Of The Earth』、そしてチャック・ブラウン&ソウル・サーチャーズとしてリリースした79年の『Bustin' Loose』の3枚は、いずれも傑作と言っていい出来だった。特に『Bustin' Loose』は、アルバム・タイトル曲を筆頭にプレGo-Go的な熱いDC産ファンクが爆発していて大好きな作品だ。
本作『Funk Express』は80年代最初のアルバム。と言うか、チャックが80年代にリリースしたスタジオ録音アルバムはコレだけのようだ。前作から更に一歩進んでGo-Goスタイルが遂に完成、かと思いきや、本作はGo-Goではないし、「Bustin' Loose」ほどの熱いファンクも聴けないのだ。

その要因のひとつは、プロデューサーの人選だろう。前作でプロデュースを担当したのはジェイムス・パーディーという人で、同じDCのスウィートなソウル・ヴォーカル・グループ、スキップ・マホーニー&カジュアルズのメンバーだった人のようだが、本作はクルセイダーズのウェイン・ヘンダーソンにプロデュースを仰いでいる。それ故か、比較的軽めのスマートなサウンドが大勢を占める(チャックのヴォーカルは変わらず暑苦しく汗臭いが)。また、チャックの自作曲が1曲もないというのも異色だ。
結局、DCのストリート直送のGo-Goサウンドはライヴでこそ真価を発揮するものであり、スタジオ・アルバムには収まりきらない、とチャックは本作をもって判断したのではないだろうか。それ故、以降はシングルでスタジオ録音曲はリリースしても、アルバム・サイズではライヴ盤のリリースが続いたのではないかと思う。

では、本作がダメかというと、決してそんなことはない。いつもよりは少しすましてはいるが、聴きどころ十分のファンク好盤だ。
アルバム冒頭の2パートからなる「Come On And Boogie」は、そのタイトルどおりブギーなディスコ・ファンク・ナンバーで、チャックらしくはないが悪くはない。「In The Pocket」は十八番のフレーズも飛び出す「Bustin' Loose」系のファンクで、ヘヴィーにウネるベースと乾いたパーカッションがカッコいいグルーヴを繰り出す。メロウなミディアム・ナンバーの「Who Are You」はウェインの色が強く出た曲と言えそう。
「Sticks And Stones」はルーズなノリのミッド・ファンクでコレもイイ。ムーディーなバラードの「Time Has No Ending」、「Slow Down(You Keep Telling Me)」は本作中最もヘヴィーなファンクで、鋼のベースが図太いグルーヴを生むスロー・ファンク・チューン。ラストはクルセイダーズ「Keep That Same Old Feeling」のカバーで、これもベースが効いたグルーヴィーなナンバー。