good feeling
Good Feeling / Brownmark
 Motown '89 

ミネアポリス生まれ、アンドレ・シモーンに替わり1981年頃からプリンスのバンドに加わり、レヴォリューションのメンバーとなったベーシスト、ブラウンマークことマーク・ブラウン。
レヴォリューション解散後はソロ活動を開始。88年にはモータウンから1stアルバム『Just Like That』をリリース。全曲を作曲・アレンジ・プロデュース、更に多くの楽器を自ら演奏するなど、プリンス譲りの多才ぶりを発揮、プリンスからの隠し切れない影響も微笑ましい、この時代の作品としては力作と言ってもいい内容だったと思う。

本作『Good Feeling』は翌年にリリースした2ndアルバム。前作同様にマルチ・ミュージシャンぶりを見せつける内容だが、今回は一部の楽曲でリーヴァイ・シーサーJrや、バイ・オール・ミーンズのスタン・シェパード&ジミー・ヴァーナーを共同制作者に招いている。
リーヴァイと言えば、レヴォリューション解散後の80年代後半から90年代前半のニュー・パワー・ジェネレーションまで、長きに渡ってプリンスを支えたベーシスト(NPGではギタリストに転向)。つまりブラウンマークの後釜のベーシストだったわけで、その2人が共同プロデュースしているというのも何だか不思議な感じはする。

リーヴァイがプロデュースに参画したのはアルバム冒頭の2曲だが、それらの楽曲の最大のトピックはプリンスが関与しているということ。「Bang Bang」にはバック・ヴォーカルとしてプリンスが参加しているが、”Bang Bang”というフックや、ブラウンマークのヴォーカルに重ねたファルセット、ブリッジ部分での地声での唸りなど、バック・ヴォーカルなんてもんじゃ収まらない目立ちっぷり。タイトルもよく似たプリンス「Tick, Tick, Bang」を思わせるファンク・ナンバーのこの曲は、リーヴァイが単独で書いた曲だが、どこをどう聴いてもプリンス印。
もう1曲の「Shall We Dance」はプリンス提供曲で、コレもプリンス臭濃厚なエレクトリックなダンス・チューン。曲冒頭部分が「Partyman」そっくりなのはご愛嬌。
モーリス・デイやジョシー・ジョンソンなど、プリンスと疎遠になる者も多いなか、ブラウンマークはレヴォリューション解散後もプリンスとの良好な関係を維持していたのだろう。2曲とも同年リリースの『Batman』と同じくフェミ・ジャイヤがミックスしているためか共通するムードを感じるが、実際はもっと深くプリンスが関与しているなんてことはないんだろうか。実はリーヴァイの名を借りてプリンスがプロデュースしているとか、演奏もほとんどプリンスだとか、勝手にいろいろと妄想が膨らむ。

スタン・シェパード&ジミー・ヴァーナーとの共作/共同プロデュースは2曲。「My Heart Misses」は、いかにもらしいクワイエット・ストームだが、「Let's Go All The Way」はアップ・ナンバーでやや凡庸な印象を受ける。
残りはブラウンマークの単独プロデュース。「Through A Friend Of Mine」 は、ブラウンマークとリーヴァイの2人で演奏した曲だが、これは当時よくあったタイプのブラコン・ナンバーといった感じ。アルバム・タイトル曲「Good Feeling」はニュージャックの薫りを纏ったダンス・チューンで、ベースにしっかりとファンクネスを感じさせるのがイイ。
「It's Not The Way(It Used To Be)」もニュージャック調で、ボビー・ブラウン「Every Little Step」系の軽めのダンス・ナンバー。弾むようなビートの「Luv Touch」、艶っぽいミドルの「Crusin'」、ハネハネのリズムにラップも乗せる「Between You And Me」、「Distress Signal」はやや捉えどころのない感じ。
80年代後半特有のサウンドを許容できるなら、十分楽しめる作品。