ive been lonely for so long
I've Been Lonely For So Long / Frederick Knight
 Stax '73 

70年代末のディスコ・ヒット、アニタ・ワード「Ring My Bell」のプロデューサーとしても知られる、アラバマ出身のシンガー・ソングライター、フレデリック・ナイトがスタックスからリリースした1stアルバム『I've Been Lonely For So Long』。

作曲家/プロデューサーとしての資質、そしてファルセット主体のヴォーカルから、"南部のカーティス・メイフィールド"の異名をとるが、そういってはカーティスに失礼と思えるぐらい、本作でのフレデリックのファルセット・ヴォーカルは何だかフニャフニャしてて頼りなく聴こえる(地声は十分ソウルフルだが)。その歌唱スタイルゆえ、最初は大したことないなぁといった印象だったアルバムだが、暫く聴いているうちにジワジワと味わいが増してくる。
スタックスの根城であるメンフィスではなく故郷アラバマでの録音のせいか、あるいはその柔らかいヴォーカルのためか、土臭く濃密なサザン・ソウルといった感じではなく、南部の温もりとスウィートなメロウネスが絶妙にマッチしたサウンド。コワモテなジャケットからは想像つかないような耳馴染みのよい楽曲の数々に埋め尽くされた、70年代サザン・ソウルの名盤のひとつ。

アルバムの幕開けとなるタイトル曲「I've been Lonely For So Long」は、ほのぼのと牧歌的なカントリー・ソウル。この曲をアカペラでカバーした、グラハム・セントラル・ステーションの1stアルバムの冒頭を飾る「I've Been Waiting For So Long」のカッコよさと比べると、その落差にズッコケそうになるが、このオリジナルの持つエヴァー・グリーンな魅力はいつの時代も不変かつ普遍。
メロウで円やかなミディアム・スロウ「This Is My Song Of Love To You」、ソウルフルな地声で歌うサザン・ソウル「Take Me On Home Witcha」はサム・ディーズとの共作。作曲家としての才をヒシヒシと感じさせる名曲「Friend」、柔らかくグルーヴィーに揺れるミディアム「I Let My Chance Go By」、「Your Love's All Over Me」はファンキーなアップ・ナンバー。

「Pick'um Up, Put'um Down」もファンキーがグルーヴの佳曲。「I've Been Waiting For So Long」と同系統の魅力溢れるカントリー・テイストのミディアム・ソウル「Now That I've Found You」、ビル・ウィザーズとは同名異曲の「Lean On Me」はストリングス・アレンジも光るサザン・ソウル・バラード。
「Trouble」はレゲエ調のリズムを持つ異色曲だが、しぶとく粘りつくようなグルーヴはクセになるカッコよさ。ラストはジョニー・ブリストル作、スプリームスのカバー「Someday We'll Be Together」で、ソウルフルな地声歌唱で盛り上げる。