zingara
Zingara
 Wheel '81 

このジンガラという謎のグループはワリ・アリなるシンガー/ギタリストを中心とした4人組で、意味不明なジャケットの本作が唯一のリリース。
このアルバムのプロデュース及び全9曲中8曲の作曲を手がけたのはラモン・ドジャー。本作と同時期にやはりドジャーがプロデュースを担ったフューチャー・フライトのアルバムが、メロウながらもバンドっぽい音だったのに対し、このジンガラはどこか匿名的な匂いがする。おそらくは、ジンガラとはドジャー主導のもとにミュージシャンを集めて制作されたプロジェクトのようなものだったのかもしれない。クレジットこそないが、アルバム中の5曲でリード・シンガーとして起用されているのがジェイムス・イングラムで、そういったところもこのプロジェクトの匿名性を強めている。

クインシー・ジョーンズに見出されたイングラムは、81年のクインシーのリーダー作『The Dude』で大きくフィーチャーされ、以降もクインシーのプロデュースで自身のソロ・アルバムをリリースしていくが、ちょうどその同じ頃にドジャーとも接触していたことになる。イングラムがクインシーではなくドジャーのもとで以降のソロ・キャリアを築いていたら、どうなっていたのだろう。

アルバムを聴くと、やはりイングラムがリードを取る曲の出来がいい、なかでもバラードの「Love's Calling」の素晴らしさ。情熱的でソウルフルな歌唱が伸びやかに駆け巡る。ストリングスが舞う流麗なダンス・ナンバーの「I Surrender」やアップの「Haunted House」、ミディアムの「Wonder Love」での身のこなしも流石。イングラムと女性シンガーのレディ・ビアンカのデュエット「You Sho Know How To Love Me」は気持ちいいステップを刻むミディアム・ナンバー。
ムーディーなバラードの「For All Of My Life(I'm Serious)」とポップな曲調の「Gypsy Heart」はワリ・アリがヴォーカルを取る。「Are You Ready For Love」はビアンカが歌うメロウなR&B。インストの「Gettin' Down」にも華やかなコーラスで味付け。