gohead
Gohead / Eramus Hall
 Capitol '84 

エラムス・ホールは7人組のファンク・バンド。
このバンド名はシカゴに実在するビルの名前から取ったものだそうで、どのようにして繋がりを得たのか分からないが、Discogsによるとジョージ・クリントンがバンドの名付け親なのだそう。このようなバンドの成り立ちからして、Pファンクの傍系グループのひとつと捉えてもよさそうなバンドではある。
このバンドは80年代に2枚のアルバムを残しているが、1980年にウェストバウンドからリリースした1stアルバム『Your Love Is My Desire』は、JRベイリーの名曲カバー「Just Me And You」をはじめ、アーバンなメロウ・ソウル系の楽曲で広く知られる作品だと思うが、その一方でPファンクからの影響がしっかりと窺える曲もあったりする。

本作『Gohead』は、前作から4年のインターバルを空けてリリースされた2ndアルバム。
前作がクリントン以下P軍団のバックアップが皆無だったのは、クリントンとはおそらく関係がよくなかったであろうウェストバウンドからのリリースだったこともあったのかもしれないが、本作はクリントン自身が当時所属していたキャピトルからのリリースとあってPファンク勢が多数参戦している。前作のメロウな作風が今では人気なのだと思うが、おそらくこのバンドの本質により近いのは本作の方なのだろう。

色合いは違うが、何となくパタリロのプラズマXっぽい2体の男女ロボ(特に右の方が)のジャケットから想像できるとおり、本作で聴けるのはバリバリのエレクトリック・ファンク。
クリントンはアルバム全体のエグゼクティヴ・プロデューサーを務める他、3曲のプロデュースに関与しており、うち2曲は共同プロデューサーとしてブーツィーの名前も。また、ギターでゲイリー・シャイダー、パーカッションでラリー・フラタンジェロ、それにPファンク・ホーンズが加勢する他、マイケル "クリップ" ペイン、ゲイリー "マッドボーン" クーパー、ライジ・カリー、マリア・フランクリン、ロバート "Pナット" ジョンソンらがバック・ヴォーカルで参加するなど、Pファンク連が総出で助太刀。おそらく80年代のクリントンの外部仕事で、これほど多勢のPファンク・メンバーが名を連ねた作品は他にないのでないか。
アルバム全体の印象としては、やはり前年のクリントンのソロ作『You Shouldn't-Nuf Bit Fish』に近い感じだが、あの作品よりも聴き応えある。80年代半ばということを割り引いて考えれば、コレはまずまず出来のいいファンク・アルバムだと思える。

アルバムのオープニング・トラック「I Can't Keep My Head(I Always Lose It To You)」は、クリントンの単独プロデュースによる、スクエアなビートにティンバレスの音も絡むソリッドなエレクトロ・ファンク。
この曲も悪くないが、更にイイのはクリントン&ブーツィー(&ジョエル・マーティンも)の共同プロデュースの2曲。「Keep Me Burnin'」はブヨブヨしたビートが気持ち悪くも気持ちイイ、ホーン・セクションもバッチリ入ったブーツィー・スタイルの正調Pファンク・チューン。「Checkin You, Checkin Yourself Out」はソリッドなリズムと硬いクラップ音、ぶっといベースと軽快なリズム・ギターのこれも、ややアーバンなムードながらしっかりP印なファンク・ナンバー。この頃のブーツィーはアルバムのリリースも止まり、表舞台から遠ざかっていた時期だが、これらの曲を聴くと決してクリエイティヴ面で不調だったわけではなかったのではと思う。

残る4曲はジョエル・マーティンの単独プロデュース。この人はどうやら白人のようで、前作でもプロデューサーとしてクレジットされていた。本作でのジョエルのプロデュース曲が前作から一転、アルバム・カラーに沿うようなPファンク調のサウンドになっているのは、エグゼクティヴ・プロデューサーとしてのクリントンのコントロールが効いているということか。
前作にも収録されていた「Stuck In The Mud」は、前作中でも一際Pファンク・マナーが強調された曲だったが、本作収録のヴァージョンはエレクトリックな質感のブギー・ファンクに改変されており、P濃度は更に増している。

その他、アッパーなロックン・ファンク「Stir It Up」、アーバンなR&Bナンバー「Will You Love Me?(The Same Way Tomorrow)」なども悪くないが、気になるのはエレクトロ・ポップ・ファンクな「Freaky But Sneaky」。ミネアポリス・サウンド的でもあるこの曲は、同時期の録音と思われるアンドレ・フォックス「Better Days」(Pファンクの未発表曲集『Go Fer Yer Funk』に収録)っぽい雰囲気も持ち合わせているが、「Better Days」のクレジットを改めて確認してみたところ、ジョエルがエンジニアを担当し、作曲とギターはエラムス・ホールの主要メンバーのマーヴィン・ウィリアムズとなっているなど、何かと共通点が多い(記憶の限りでは、ジョエルとマーヴィンの名を他のPファンク関連の楽曲では見かけたことがない)。ということは、この2曲は同じセッションで録音されたモノなのかもしれない。更に言えば、アンドレ・フォックスの本名はアンドレ・ウィリアムズ。同じウィリアムズ姓ということは、ひょとするとこの2人は血縁関係にあるのかも、と想像が膨らむ。