follow the wind
Follow The Wind / Midnight Movers, Unltd.
 Buddah '74 

ウィルソン・ピケットのバック・バンドや、アイズレー・ブラザーズのツアー・バンドも務めていたというシカゴ出身の5人組、ミッドナイト・ムーヴァーズ。バンド名はもちろん、ピケットのヒット曲から。
このバンドは70年代に2枚のアルバムを残しているが、それらの作品で聴けるのは、ピケットのバック・バンドということから想像されるようなサザン・ソウル的なサウンドでも、シカゴっぽい洗練された音でもなく、ファズ・ギターが唸るサイケデリックなファンク・ロック・サウンド。特に初期のスライからの影響の大きさを感じさせるが、ファンカデリックほどのグシャグショのアシッド臭は無いので、意外と聴きやすい。

サイケな色づかいが目を引くジャケットの本作『Follow The Wind』は彼らの2ndアルバム。70年の前作『Do It In The Road』はジャリジャリと粗く泥臭いガレージ・ファンク・ロック作だったが、本作はロック的なエッジは残しつつも、ウネるようなワウ・ギターや分厚く盛り上げるホーン・セクションを擁し、より真っ当なファンクに近づいていてなかなかカッコいい。ちなみに、本作では名義がミッドナイト・ムーヴァーズ・アンリミテッドに変わっている。

アルバム・タイトル曲「Follow The Wind」はギター・カッティングがグルーヴィーなファンク・ロック・ナンバー。「Mystery Woman」は循環するベース・ラインとクラヴィネット、ホーン・セクションが縺れ合いながら突き進むファンク・チューン。
「Can't Stand The Heat」は歪んだギターと分厚いホーンのサイケ・ファンク・ロック。「Lost For Words」は柔らかいフルートとファルセット・コーラスが心地よいグルーヴィー・メロウ・ソウル。「Party(With Every Muscle In Your Body)」は子供声コーラスとハンド・クラップが入って賑やかな雰囲気のパーティー・ファンク。

もうタイトルを聞いただけで期待せざるをえない「Frankenstein Meets Blackenstein」は、期待に違わぬ激しくグルーヴするモンスター・ファンク。「Mississippi Foxhole」は泥臭くウネるアーシーなファンク・チューン。
ドゥービー・ブラザーズ「Long Train Running(Without Love)」のカバーは、熱く滾るファンク・ロックでコレは堪らないカッコよさ。砂埃舞う哀愁グルーヴィー・ソウルの「Sacrifice」、ラストの「Flight To Freedom」は、グルーヴィーに疾走するリズム隊にホーン・セクションとワウ・ギターが並走する激ファンク・チューン。