stone killers
Stone Killers / Prince Charles & The City Beat Band
 Virgin '83 

このB級感というかキワモノ感が強烈なジャケットは普通は敬遠されそうだが、ファンク好きなら逆に期待が膨らむだろう。本作はプリンス・チャールズ・アレクサンダー率いるシティー・ビート・バンドの2ndアルバム『Stone Killers』。
このプリンス・チャールズなる人物、知らなかったのだが、後にスタジオ・エンジニア/プロデューサーとして大成。ザッとDiscogsで調べただけでもモノ凄い仕事量で、80年代末のフレディー・ジャクソンやカシーフらの仕事を皮切りに、メアリー・J・ブライジやフェイス・エヴァンス、アッシャー、果てはアレサ・フランクリンまで、キラ星のごときR&Bスター達の作品を数多く手がけており、今や業界の大物に成り上がっている。
そんなプリンス・チャールズが裏方に回る前、シティー・ビート・バンドを結成して自らフロントに立ちリリースしたアルバムは3枚あるが、どれもこれもジャケット、タイトルともキワモノの極みで最悪でサイコーなのだが、肝心の音の方はPファンクからの影響も大きいゲテモノ・ヘヴィー・ファンクで期待を裏切らない内容。

アルバムのオープニング・チューン「Don't Fake The Funk」から、Pファンク調のヘヴィーなシンセ・ベースが強力なブリブリのブギー・ファンク。曲途中で吹き散らかすフルートも効いている。続く「Cash(Cash Money)」はP印のギター・カッティングとシンセ・リフを垂れ流す、クールでゴツいミッド・ファンク。
「Big Chested Girls」はエレクトロな質感のビートにストイックにリズムを刻むギターが異様な迫力を生むスロー・ファンク。「Cold As Ice(NYC Blues)」もシンセ・ベースとリズム・ギターの絡みが絶妙なサイバー・ファンク。
「I'm A Fool For Love」はパーカッシヴなビートが躍動するシンセサイズド・ファンク・ダンサー。「Jungle Stomp」はマシン・ビートでトライバルなサウンドを構築したエレクトロ・ファンク。ブッといファンク・ビートを打ちつける「Bush Beat」、ラストの「Video Freak(Defend It!)」はエレクトリックでスペイシーなシンセ・ファンク。