feels so good
Feels So Good / Grover Washington, Jr.
 Kudu '75 

ビル・ウィザーズのヴォーカルをフィーチャーした1982年の「Just The Two Of Us」の大ヒットのイメージが強いジャズ・サックス奏者、グローヴァー・ワシントンJr。
「Just The Two Of Us」の邦題「クリスタルの恋人たち」や、その曲を含むアルバム『Winelight』のジャケットに象徴されるように、80年代以降のグローヴァーの音楽はお洒落でアーバンでアダルトなフュージョン/AORであり、今で言うスムーズ・ジャズの源流と認識されているようだが、70年代にCTI傘下のクドゥからリリースした作品で聴かれるのは、クリアなクリスタルではなく鈍い光を放つ黒水晶のごときジャズ・ファンク。
代表作である75年の『Mister Magic』もイイが、その次作で同じく75年にリリースされた本作『Feels So Good』が(すべてのアルバムを聴いたわけではないが)グローヴァー作品の中では最もファンク度が高いアルバムだと思う(『ファンク 人物、歴史そしてワンネス』の巻末レビューでも最高評価の5つ星を獲得)。

ジャケットにわざわざ書いてあるように、本作もそれまでの作品同様にボブ・ジェイムスがアレンジやピアノ/シンセサイザーを担当。その他、エリック・ゲイル、ルイス・ジョンソン、ゲイリー・キング、スティーヴ・ガッド、ジミー・マディソン、スパイダー・ウェブ、ラルフ・マクドナルドなど錚々たる面子がバックアップ。プロデュースはもちろんCTIの創設者であるクリード・テイラー。
本作収録曲でまず真っ先に名前が挙がる曲は、アルバムのラストに配された「Hydra」だろう。スパイダー・ウェブのタイトにビートを刻むドラムスと、ルイス・ジョンソンのグルーヴィーな催眠ベース・ラインが超強力なクールなジャズ・ファンク・チューンで、EPMD「Underground」、ATCQ「Check The Rhime」、オーガナイズド・コンフュージョン「P.S. 48」、エドOG&ダ・ブルドッグス「Stop(Think For A Moment)」、ブラック・ムーン「How Many MC's」、ピート・ロック&CLスムース「I Got A Love」、ビートナッツ「Yeah You Got Props」、ロード・フィネス「Time Ta Bounce」などなど、この曲のドープなビートはヒップホップでサンプリングされまくった。

アルバムは全5曲で、タルいフュージョンは「Moonstreams」1曲だけ、残りはすべてファンクというのも嬉しい。なかでも「Knucklehead」は「Hydra」と双璧と言えそうな屈強なファンクで、ジミー・マディソンによるマイク・クラークばりに訛ったオークランド・スタイルのドラムスと、ゲイリー・キングの極太ベースがウネりまくる。
アルバムのオープニング・ナンバーの「The Sea Lion」は、ガッドらしいシャープなドラミングが冴えるスリリングなジャズ・ファンク・チューン。アルバム・タイトル曲「It Feels So Good」は、スパイダー・ウェブとルイス・ジョンソンのリズム・セクションがガッチリとしたグルーヴを繰り出すジャズ・ファンク・ナンバー。