im in need of love
I'm In Need Of Love / Lou Courtney
 Epic '74 

ニューヨーク生まれのソウル・シンガー/ソングライターのルー・コートニー。ソロ・アルバムは3枚あるようだが、最も知られた作品と思われるのが2ndアルバムとなる本作『I'm In Need Of Love』。
アルバム全曲のプロデュースと一部の楽曲のアレンジを手がけたジェリー・ラガヴォイと、キーボードと大半の楽曲のアレンジを担ったレオン・ペンダーヴィスの2人が制作面でのキー・パーソン。ボブ・バビット、デイヴィッド・スピノザといった名手に加え、Pファンク加入前のグレン・ゴインズがギターで参加しているのも目を引く。

この時代の作品としてはかなりモダンで都会的なサウンドで、ストリングスをあしらったメロウでグルーヴィーな作風は、マーヴィン・ゲイ以降のニュー・ソウルから大きく影響を受けたに違いないが、歌詞に社会的なメッセージ性は皆無で全曲ラブソング。シンガーとしては、マーヴィンのような色気は感じられず生真面目で誠実な印象で、そこが物足りなく感じたりもするが、切ない心象風景を歌った自作曲にこのヴォーカルはよく合っているようにも思う。
似たタイプの曲が多く、アルバムの流れがやや一本調子で起伏に欠けるようにも感じられるが、個々の楽曲の出来はイイ。ジョニー・ブリストルのMGM時代の作品、『Hang On In There Baby』『Feeling The Magic』あたりと一緒に聴きたい、地味ながらも良質なアルバム。

アルバムのオープニング・ナンバー「The Common Broken Heart」からビタースウィートなムードのメロウ・グルーヴィー・ソウルに胸が満たされる。
哀愁を湛えたメロディーと真摯でソウルフルなヴォーカルにグッとくるバラード「Since I First Laid Eyes On You」、ジワリとファンキーなグルーヴの「What Do You Want Me To Do」、甘い歌い口のスロウ「The Best Thing A Man Ever Do For His Woman」はブリッジ部分で一瞬レゲエっぽいリズムを刻む変化球。「I Will, If You Will」は爽快グルーヴィーなソウル・ダンサー。

クールなモダン・ソウル・ナンバーの「Somebody New Is Lovin' On You」、ロマンティックなムードのスロウ「I'm Serious About Lovin' You」、「I Don't Need Nobody Elese」はグルーヴィーに疾走する哀愁ソウル・ナンバーで、かなりジョニー・ブリストル的だがコレは名曲。
胸を掻き毟るような切なさに締めつけられるメロウ・スロウ「Just To Let Him Break Your Heart」、ラストのアルバム・タイトル曲「I'm In Need Of Love」はファンキーなリズムが躍るグルーヴィー・チューン。

現行CDには更にボーナス・トラックを2曲追加収録。いずれも本作と同時期のシングル・オンリー曲で、乾いたパーカッションがリズムを刻むファンキー・チューンの「Beware」、グルーヴィーなミディアム・ソウルの「Why」ともに良曲。