street nigga
Street Nigga / YG'z
 Reprise '93 

1993年の『Menace Ⅱ Society』サントラ収録のピート・ロック&C.L.スムース「Death Becomes You」への客演でのお披露目を経てリリースされた、YG'zのデビューEP『Street Nigga』。
ピート・ロックと同じニューヨークはマウント・ヴァーノン出身のケニー "ゲスト" オースティンとトミー・ゲストの兄弟2MCで、6曲入りの本作のうち4曲をプロデュースするなどピートが同郷のよしみで手厚くバックアップ。まさに黄金期のピート・ロック・サウンドが展開されており、ファンには堪らない作品。主役2人のラップは取り立てて秀でたところはないが、若々しい荒っぽさと勢いがあってイイ。

タイトル曲の「Street Nigga」は、アヴェレージ・ホワイト・バンド「School Boy Crush」のドラムと鈴の音に、ピート御用達のオハイオ・プレイヤーズ「What's Going On?」をサンプリングしたファンキーでソウルフルなトラックに、兄弟2人のイキのいいラップが乗る。「Street Nigga(Pete Rock Remix)」ではピートがいつもの合いの手を入れまくってくれる。
「Ghetto Celeb」はピート十八番のホーン飛ばしも聴かれる、黒くソウルフルな『Mecca And The Soul Brother』なサウンド。「Sumthin' 4 Da Head」はメルヴィン・ブリス「Synthetic Substitution」、ロニー・スミス「Spinning Wheel」をサンプリング、「Mecca And The Soul Brother」のコスリも冴える。

ピートが手がけた4曲には及ばないものの、残りの2曲も十分に楽しめる出来。ラガマフィンも交え芸の幅をアピールする「Wonders In Da Bed」はスリック・リックのプロデューサー、ヴァンス・ライトの制作。
A.D.O.R.作品のプロデューサーとして名前を見かけるウィリー・ガンズによる「Itchy Trigger Finger」は、煙たいホーン・サンプルのピート・ロック直系のサウンドを聴かせる。

上々のデビューを飾りアルバム・リリースが期待されたが、結果的に本EPを最後に消えてしまったのは残念。