soul pride
Soul Pride : The Instrumentals 1960-1969 / James Brown
 Polydor '93 

ジェイムス・ブラウンは70年代に入ると、自身のバック・バンドにJB'sと名付け、JB個人の作品とは別立てでJB's単独でのインスト作品をリリースするようになる。『Food For Thought』『Doing It To Death』『Damn Right I Am Somebody』など、特に70年代前半のJB'sのアルバムはファンク/ジャズ・ファンクの名盤として誉れ高い。
一方で60年代のJBも、アルバムには必ず1~2曲はインスト曲が入っていたし、インスト・アルバムも数多くリリースしていた。そんな60年代のインスト・ナンバーばかりを集めたコンピレーションが本作『Soul Pride : The Instrumentals 1960-1969』。93年にハリー・ワインガーとアラン・リーズの監修によってリリースされたこの36曲入り2CD、ユルくもファンキーなソウル・ジャズ系インストをまとめて堪能できる優良コンピ。69年の『The Popcorn』などの傑作は必携としても、60年代前半の作品やスマッシュ録音あたりまでオリジナル・アルバムでフォローできていないので、その辺の楽曲もしっかり掬い上げてくれている本作は非常に重宝だ。録音順に並べられているので、60年代のJBサウンドの変遷も確認できる。

JBの演奏する楽器というとオルガンを真っ先に連想するが、初期の録音ではドラムスを叩くことも多く、ディスク1に収められた60年代初め頃の楽曲、「Hold It」や「Limbo Jimbo」、「Doin' The Limbo」「Choo-Choo(Locomotion)」などのドラムはJBだ。もちろんこの頃はまだファンキーというよりも、ノリのいいR&B/ジャンプ/ジャイヴ系のナンバーが中心で、既にこの頃からボビー・バードやセントクレア・ピンクニーがバンドを支えている。
これが60年代半ばになってくると、メルヴィン&メイシオ・パーカー、バーナード・オーダム、ジミー・ノーラン、アルフォンソ・ケラム、そしてジョン "ジャボ" スタークスといった重要メンバーが加わり、徐々にファンキーなビッグバンド・ソウル・ジャズへの下地が出来上がっていく。そしてディスク1の最後、66年の未発表音源「Devil's Den(Live)」では、ジャボと共にクライド・スタブルフィールドの名がクレジットされる。

ディスク2には60年代後半のソウル・ジャズ、ジャズ・ファンクの名演をたっぷり収録。特に、クライドがドラムを叩いた68年以降の曲ではファンク度が跳ね上がる。98年に発掘リリースされらライヴ盤『Say It Live And Loud  Live In Dallas 08.26.68』にも収録された「Tighten Up(Live)」でのクライドのドラミングは強烈だし、本盤のタイトルにもなった「Soul Pride」もドファンキー。その「Soul Pride」も含め、やはり『The Popcorn』の楽曲が多く収録されている。
「Lowdown Popcorn(Buttered Version)」は、 『Sex Machine』収録の「Lowdown Popcorn」と基本同じ音源だが、『Sex Machine』版でオーバーダブされていたオーディエンスの歓声がこの Buttered Version では抜かれ、『Sex Machine』版には無いメイシオのソロ部分も収録されている。
本盤の最後に登場するのは「Funky Drummer(The Original Tambourine Mix)」。その名のとおり曲の途中からタンバリンが入り、収録時間も約9分半と 『In The Jungle Groove』版よりも少し長い。