shotgun
Shotgun
 ABC '77 

70年代後半~80年代初めに6枚のアルバムをリリースした6人組ファンク・バンド、ショットガン。
このバンドの前身は、1973年にスタックス傘下のエンタープライズからアルバム『Ghetto : Misfortune's Wealth』をリリースしたことで知られる24カラット・ゴールドというグループ。このグループの中心人物は、デトロイト生まれで、ベリー・ゴーディーの2番目の妻だったレイノマの甥にあたり、『Hot Buttered Soul』をはじめとするアイザック・ヘイズ初期作にも参加したプロデューサー/アレンジャーのデイル・ウォーレン。デイルは自身の目指す音楽を実現するため、ディタリアンズというオハイオ州はシンシナティ出身のバンドをグループの中核に据え、その他にもデトロイトのミュージシャンなどを集め、結果24カラット・ブラックは総勢13名もの大所帯となった。

彼らの唯一の作品である『Ghetto : Misfortune's Wealth』は、メッセージ性の強いゲットー・オペラ的なコンセプト・アルバムで、重々しいスロウ中心の楽曲やリッチなストリングス・アレンジは、デイルがヘイズの下で学んだことが反映されている。
今ではサンプリング・ソースとして人気のこのアルバムだが、当時は見向きもされずまったく売れなかった模様で、ほどなくして商業的な失敗と方向性の相違からメンバーが大量離脱。デイルは以降もメンバーを補充しつつ録音を続けてたものの、次の作品がリリースされることはなかった(その音源の一部は2009年になってヌメロから出た未発表曲集『Gone : The Promises Of Yesterday』で聴くことができる)。

この時24カラット・ブラックから脱退したメンバーで新たに結成されたのがショットガンだ。ショットガン=ディタリアンズなのかどうか分からないのだが、ディタリアンズはおそらく4人組だったと思われるので、ショットガンはオハイオとデトロイトのメンバーを擁するバンドということになるだろう。
基本的にはオハイオのバンドとして語られることが多いと思われるショットガンだが、実際彼らの1stアルバムである本作を聴くと、オハイオ・ファンクというよりも、デトロイト流儀のタフで武骨なファンク・サウンドといった感じが強いようにも思う。無論、24カラット・ブラックの音楽性とも大きく異なる。

アルバムのオープナーはバンド名をタイトルに冠した「Shotgun」。これは黒く骨太なファンク・チューンで、なかなかカッコいい。「Trouble Shooter」は重心低くゴリゴリ迫るミッド・ファンクで、個人的にはこの手のファンクは大好物なので、この曲もかなり好み。
明るい調子のパーティー・ファンク「Good Thing」、しぶといグルーヴでジワジワ焚きつけるボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ「Concrete Jungle」のカバー、「Get Down With The Get Down」はタイトルからしてノリのいいディスコ・ファンクだが、決して軽く流れるようなところがないのが良い。
「Mutha Funk」はズッシリと重いファンク・ナンバーで、これもかなり強力。ギターが嘶く「Shady Lady」はややロック寄りのハードなファンク・チューン。「Hot Line」はヴォーカルの掛け合いもイカシたソウル・ナンバーでなかなか聴かせる。ラストの「Dynamite(The Bomb)」は迫力のあるヘヴィー・ファンクが炸裂。