loose and juicy
Loose And Juicy / The Pazant Bros. & The Beaufort Express
 Vanguard '75 


プーチョ&ザ・ラテン・ソウル・ブラザーズのメンバーとして、ラテン・ジャズ・ファンク傑作の『Jungle Fire!』や『Yania』などの録音にも参加したエディーとアルのパザント兄弟。
60年代末頃からは自身らのバンドでの活動も開始し、70年代前半までに結構な枚数のシングルをリリースしているが、その集大成となったのが彼ら唯一のアルバムとなる本作『Loose And Juicy』。

揃いの白いタキシードに身を包み、それぞれに個性的なアフロ頭のビューフォート・エクスプレスの面々を写したジャケットが何とも素敵な本作、内容の方も文句なく楽しめるファンク/レア・グルーヴ名盤。
ラテンやジャズの要素も入り混じったサウンドはパザント兄弟の出自を窺わせるが、基本は踊らせて何ぼの路地裏感覚溢れるパーティー・バンド。ジャリジャリとした粗い手触りの真っ黒に汚れたファンク・サウンドは、賑々しくも猥雑な女性コーラスの狂騒も相俟って、ジッとして聴いてるだけでも汗だくになりそうな暑苦しさ。

アルバム1曲目の「A Gritty Nitty」から臭みたっぷりのファンク・チューンで、囃し立てるような女性コーラスの掛け合いに煽られてワサワサと盛り上がる。ファンキーなミドル・ナンバーの「Back To Beaufort」は男性ヴォーカル入りだが、これはパザント兄弟が歌っているのだろうか。
「Loose And Juicy」は猛るホーンズと乾いたラテン・パーカッションに女性コーラスが煽る、濃縮黒汁100%のファンク・ジャム。まったりとノスタルジックなムードの「Clabber Biscuits」、「Toe Jam」はギター・カッティングとパーカッションが軽快にリズムを刻み、ホーンが分厚く塗りこめる中、例のごとく下世話で黒いノリの女性コーラスがワサワサ盛り上げるファンク・チューン。

ナット・アダレイの名曲「Work Song」のカバーはルーズでイナタいホーン・アレンジでレイド・バックしたムード。「Spooky」はホーン・セクションを前面に押し出しつつ、チャカチャカ鳴らされるファンキーなリズム・ギターにスペイシーなシンセまで導入したファンク・ナンバー。
タイトルからして臭味たっぷりな「Skunk Juice」は、ホーン・セクションもリズム隊もグルーヴィーにキメまくるカッコいいファンク・チューン。螺旋状のベース・ラインがトグロ巻くようグルーヴを繰り出すジャズ・ファンク「You've Got To Do Your Best」、ラストの「New Orleans」は土着的なリズムが彼の地を思わせるファンクで、女も男も入り乱れてのワサワサした肉声の重なりが猥雑な雰囲気も醸す。

本作収録曲のうちの約半数は先にリリースされたシングル曲の再録音だが、60年代末~70年代前半のシングルはよりゴッタ煮感の増したファンク・サウンドで、その辺りの音も堪らなく美味。それらの楽曲はファンキー・デリカシーズのB級ローカル・ファンク・コンピ『Funky Funky New York』や、『Loose And Juicy』の全曲が収録されたパザント・ブラザーズのベスト盤『The Brothers Funk Rare New York City Funk 1969-1975』などで聴くことができる。