savage
Savage! / Don Julian
 Money '73 

50年代から自身のヴォーカル・グループを率いて活動していたという、テキサス出身のミュージシャン、ドン・ジュリアン。
彼が73年に制作したブラックスプロイテーション映画のサウンドトラック『Savage!』は、『Superfly』クラスとは言わないまでも、『Coffy』『Across 110th  Street』にも匹敵する水準の傑作サントラ盤。音楽的なアイディアも豊富に貪欲に盛り込まれているが、もちろんブラックスプロイ然としたヒリヒリするような緊張感とスリリングな疾走感がアルバム全編に漲っており、ギラギラと黒光りしたファンク/ジャズ・ファンク/レア・グルーヴ・サウンドは文句なくカッコいい。

「Title Theme : Savage」はド派手なカーチェイスやアクション・シーンを想起させるようなスリリングなビッグバンド・ジャズ・ファンクで、極太のファンク・グルーヴを繰り出すドラムス&ベース、ワシャワシャと掻き毟るワウ・ギター、ヒップに踊るフルート、土臭く骨っぽいパーカッションなどが束になってかかる。11分半もの長尺曲だが、何曲かを一繋ぎにした組曲のような展開が、映画のハイライト・シーンのカットアップのような効果を生んでいる。

「Lay It On Your Head」は地を這うベース・ラインに激ファンキーなワウ・ギターとヒップなフルートが絡む。曲途中に挟まれるベースだけのパートも真っ黒なファンク。
「Where I'm Coming From」は呪術的なフルートとパーカッションがアフロ・ムードを醸すジャズ・ファンク。「It's A Sad Song」はフルートとアコギによる哀愁フォーク・ソウル。

「My Favorite Beer Joint」は安酒場から聴こえてきそうな雰囲気のブルージーな曲。「Janitzio」はアコースティック・ギターに語り入りのソフトなラテン・ソウルから、映画のワンシーンと思しきSEを挟んで、太いベースにフルートが加わったラテン・グルーヴへと展開。ラストの「Just Kiss Me」はメランコリックなムードのジャジー・ソウル・ナンバー。