momma stud
Cockadoodledo / Momma Stud
 Virgin '91 

ロスで結成された黒白混合5人組バンド、モマ・スタッド。
どうやら現在も活動を続けているようだが、アルバムは1991年の本作『Cockadoodledo』1枚のみ。91年当時に自分が本作を買った最大の理由は、あのバーニー・ウォーレルがプロデュースしているからだ。

90年代初頭の自分の音楽遍歴を振り返ると、90年のプリンス『Graffiti Bridge』収録の「We Can Funk」で初めてジョージ・クリントンの存在を知り、そこからPファンクに興味を持ち、前年にペイズリー・パークから出ていたクリントンのソロ・アルバム『The Cinderella Theory』を聴き、91年に入ると日本で初CD化されたパーラメントのカサブランカ時代の傑作群を聴いて打ちのめされ、バーニーのソロ2nd『Funk Of Ages』やMr.フィドラー『With Respect』(いずれもリリースは90年)なんかも聴いていた。

その流れで本作も聴いたのだが、全然Pファンクっぽくないし、基本的にはロック・バンドと言った方がしっくりくる内容で、日本盤ライナーではレニー・クラヴィッツやテレンス・トレント・ダービー、スティーヴィー・サラスにファミリー・スタンド(の2nd)などが引き合いに出されていた。
自分もその辺りの作品と一緒に楽しんでいたのだが、レニクラやサラスよりはもっと黒っぽいフィーリングを感じるし、ファミリー・スタンドの『Moon In Scorpio』ほどコテコテのブラック・ロックでもない、強いて言えば、ヴォーカルのアーネスト・カーターのソウルフルな歌唱もあって、TTDの1st『Introducing The Hardline According To Terence Trent D'arby』をもっとロック寄りにしたような印象を抱いていた。

基本ブラック・ミュージック・リスナーの自分が何故この作品を気に入っていたのか、当時はまだよく分からなかったのだが、かなり久しぶり(たぶん25年ぶりぐらい?)に聴き返してみて合点がいったのが、このバンドはスライやサザン・ソウルから大きく影響を受けていて、本作にもそういった要素が色濃く滲んでいる、ということだ。
思えば、『Funk Of Ages』でPファンクはもちろん、ヒップホップやレゲエ、ジャズにロックにと、各界の一流ミュージシャンの持ち味を最大限に引き出しつつ適材適所に配し、幅広い音楽性を見事に1枚のアルバムにまとめ上げてみせたバーニーだ。このモマ・スタッドのアルバムでも、けっしてオーバー・プロデュースになることなく、スライや南部のソウル・ミュージックが自然なカタチで溶け込んだこのバンドのサウンドを、上手く引き出しているように思う。

アルバムのオープニング・ナンバー「Time」は、60年代のスライを思わせるようなファンキー・ロック・チューン。後半にいくに連れて昂揚していく感じや、ナーナナナー・コーラスもスライ的。「Porch」は土臭く温かいリズムとグルーヴが心地いいミディアム・ナンバー。「Stormy」はザックリとしたギターの音色に抑揚に富んだヴォーカル、ホーンも入ったアーシーなサウンドは、70年代のサザン・ソウルとカントリー・ミュージックの蜜月を思わせる。
これもサザン・ソウル的なブルージーさが滲む「Tossin' & Turnin'」、「Pray No More」はスライ+ゴスペルなリズム&ブルースでロックなナンバー。クワイアっぽいコーラス、アーシーなオルガンもイイ。「Revised Edition」は、コレはもう完全に60~70年代のサザン・ソウル。特にこのギターなんか、スティーヴ・クロッパーみたく聴こえる。この曲もゴスペル・クワイアが加わってアーネストのヴォーカルと一体となってソウルフルに盛り上げる。

アコースティック・ギターの乾いた音色が効いた「Call On Me」は女性シンガーとのデュエットによるグルーヴィーなロック/ソウル・ナンバー。キング・フロイド「Groove Me」はオリジナルよりもテンポを上げてカバーしており、原曲のヒョコヒョコしたユニークなグルーヴはここでは薄くなっているが、よりストレートにノリのいいファンキーさも悪くない。「Baby Seed」は荒れ果てた荒野をさすらうような雰囲気を醸すロック・ナンバーで、印象的なギターはライナーによればニール・ヤング風なのだそう。
トラディショナルなゴスペル・ナンバー「Amazing Grace」は短い曲だが、アーネストがアカペラで渾身のソウルフル・シンギング。おそらく当時、この曲がTTDのスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ「Who's Loving You」カバーでの熱唱を自分に連想させたのではないか。「Hallelujah」はギターがザクザク刻みつけるファンキー・ロック・チューン。ラストの「Yellow, Purple, Green」はアコギを掻き鳴らすカントリー・ロック調のナンバー。