import export
Import Export / Ice
 Prestige '75 

ニューヨークで結成されたファンク・バンド、ボビー・ボイド・コングレスは、大西洋を渡りフランスはパリを活動拠点に据え、71年にアルバム『Bobby Boyd Congress』をリリース。
しかし、リーダーのボビー・ボイドはバンドを捨てて単身アメリカへと帰国。バンドはパリに残りラファイエット・アフロ・ロック・バンドと名を改め、『Soul Makossa』『Malik』といったアフロ・ファンク/レア・グルーヴ名盤をリリースする。

またこのバンドは並行して、アイスという名前でも作品をリリースしており、本作『Import Export』はアイス名義での2ndアルバム。フランス盤は『Frisco Disco』のタイトルで出されているが、こちらはプレスティッジからリリースされたUS盤。
ラファイエット名義が基本インスト作品で、アフロ・テイストを多めに溶かし込んだファンク・サウンドであるのに対し、アイス名義の作品はヴォーカルが入り、音楽的にもよりストレートなUS産ファンクを志向していてアフロ成分薄めなのが特徴。
バンドの個性という意味では、ラファイエット作品やバッド・チャイルド『First Fight』で聴けるアフロ・ファンク・サウンドの方が強く印象に残るし、個人的にもそれらの作品の方が好きだが、当時のアメリカのファンク・バンドの作品と比べても何ら遜色ないクオリティを誇る本作も十分に楽しめる好盤だと思う。

アルバム・オープナーの「Hi Fi Woman」は、クラヴィネットが小気味よく刻むファンク・チューン。メロウでピースフルな雰囲気のミディアム「Don't Wonder Why」、これもクラヴィネットがブリブリとグルーヴするファンク・ナンバー「Funky Lovin'」、アフロ色濃いパーカッションのリズムにホーンが熱くヒットするインスト・ファンク・チューン「Quick」、「Hey Angel Girl」はコーラス・ワークも爽快なメロウ・グルーヴ。

「The Gap」はリズム・セクションがガッシリしたグルーヴを繰り出すファンク・チューンで、ここでもやはりクラヴィネットが節足動物のごとくビラビラと蠢く。揺蕩うようなメロウ・チューン「Passing Dreams」、柔らかなミディアム・ナンバー「What Cha Gonna Do About Loving Me」、同じファンタジー・レーベルのブラックバーズやプレジャーみたいなファンキー・チューン「I Need Love」、ラストの「Funky Bunch」はブギーなファンク・ナンバー。