revival
The Revival / Funkproof
 Tidal Wave Music '19 

1977年にベイエリア・ファンクの隠れ名盤『The Perfect Circle』を出したことで知られるレーベル、インナー・シティー・レコーズ。
このレーベルの主宰者であるジョージ・センパーのキャリアは50年代からと古く、66年にはソロ・アルバム『Makin' Waves』をインペリアルからリリースしている。
センパーがインナー・シティー・レコーズを起ち上げたのが72年、最初のリリースがロン&キャンディのシングル「Lovely Weekend」で73年、その後このレーベルは数枚のシングルと前述のパーフェクト・サークルのアルバム1枚をリリースしたのみ。2003年には未発表曲を含むこのレーベルのコンピレーション『Inner City Sounds』がラヴン・ヘイトから出ているが、お宝音源はどうやらそれだけではなかったようで、そのコンピにも「Funktime」という曲が収録されていたバンド、ファンクプルーフの未発表アルバムがこの度リリースされた。

このファンクプルーフの結成は72年、つまりインナー・シティー・レコーズ旗揚げと同時期であり、レーベルの命運を託したセンパー肝入りのプロジェクトだったと思われる。センパー自身を中心に、ブレントン・ウッズやメリー・クレイトンのバッキングをやっていたミュージシャンたちで結成され、初期にはワッツ103rdストリート・リズム・バンド脱退後のアル・マッケイも在籍していたとのこと。
本作の録音時点ではセンパーの他、ベースのナサニエル "ベイシー" ジョンソンと、アル・マッケイと一緒にワッツ・バンドを脱退したドラムスのアーネスト・レイ "ブラザー・パフ " ジョンソンの3名がレギュラー・メンバーだが、印象的なファンク・ギターを弾いているのはリチャード・カヴァソスという人(1曲のみアル・マッケイ)、またリード・ヴォーカルの多くはセンパ―自身だが、ブレントン・ウッドも3曲で歌っている。

アルバム冒頭の「Mo' Funk」はジャジーに展開する構成も凝ったインスト・ファンク・チューン。バンド名をタイトルに冠した「Funk Proof」はワウワウとウネる演奏がグルーヴィーなファンク・ナンバー。ややブルージーで重いリズムの泥臭いファンク「The Bumble Bee Song」、「The Smiling Children」は初期スライ的な雰囲気もあるサイケデリック・ファンキー・ソウル。
ヘヴィーなグルーヴが渦巻くファンク・ロック「Don't Throw This Love Away」、ホーンもキマッたインスト・ファンク「Let's Funk」、ズッシリ重いリズムにワウ・ギターがグルーヴィーに絡みつくファンク・チューン「Just Look At Your World」、「Super Pimp」はオルガンとホーンが効いたファンクで、この曲のみアル・マッケイがギターを弾いている。

「Brother Puff」は「Super Pimp」の別ヴァージョンで、リズム・セクションが弾力に富むグルーヴを繰り出すインスト・ファンク。アンディスピューティッド・トゥルースのカバー「Smiling Faces」はサイケなムードを醸すグルーヴィー・チューン。
ウネりまくるワウ・ギターとリズム隊のグルーヴがより強調された「Don't Throw This Love Away」のインスト・ヴァージョン、センパ―のピアノが目立つジャジーでファンキーなインスト「Theme From Soul」、ラストの「Doo-Bee-Doo」は和やかなムードのソウル・ナンバー。

斯様に充実した内容ながら本作は日の目を見ることなく、ファンクプルーフはシングルの1枚もリリースできないまま終わった。その後、アーネスト・レイ・ジョンソンはワッツ・バンドへ出戻ったとのことだが、ナサニエル・ジョンソンは76年にシングル1枚をリリースした9人組ファンク・バンド、ピュア・ファンクのメンバーとして活動した。