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Essential, The Very Best Of... / Terry Callier
 MCA '98 

80年代末頃からUKのレア・グルーヴやアシッド・ジャズのシーンにおいて再評価が進み、98年には『Turn You To Love』以来約20年ぶりの新作『Timepeace』をトーキン・ラウドからリリースしたテリー・キャリアー。
ちょうどその復活のタイミングでリリースされたこのベスト盤『Essential, The Very Best Of...』は、70年代前半のカデット3部作『Occaisonal Rain』『What Color Is Love』『I Just Can't Help Myself』からの8曲の他に、アルバム未収録のシングル2曲、更に未発表曲7曲も含む。

まず、本作の最後に収められている「Blues」という曲は、68年のシングル「You Goin' Miss Your Candy Man」のこと。なぜ本作では「Blues」とタイトルが改められているのかよく分からないが、『What Color Is Love』収録の同名曲との混同を避けるためかもしれない。その『What Color Is Love』版の洗練に対し、より荒々しくグルーヴするこのシングル版も良い出来。
また、そのシングルのB面曲で、歯切れのいいノーザン・ソウル「Look At Me Now」も本作に収録されている。

未発表曲7曲のうち、本作の前半に登場する3曲は、おそらく前述のシングルと同じ頃の録音ではないかと思う。
キャリアーのどこか気だるげなヴォーカルが官能的な、シカゴらしいムーディーなソウル・バラードの「Lover(Where Have You Gone)」、温もり溢れるミディアム・ナンバー「Baby Take Your Time」、「Look At Me Now」と同タイプのノーザン・ソウル「You Were Just Foolin' Me」と、いずれもお蔵入りとは勿体ない好曲。

残る4曲の未発表曲は、洗練された楽曲の雰囲気からしておそらく70年代前半の録音、ということは、カデット3部作から漏れたアウトテイクなのかもしれないが、あの3枚のアルバムのどれかに収録されていたとしても何の違和感もない完成度。
円やかなメロウ・フォーキー・ソウルの「Sail Away」、乾いたパーカッシヴなグルーヴの「Color Me Free」、「Soulful Clown」はギターとフルート、パーカッションがクールに走るグルーヴィー・ソウル。「City Side And Country Side」もフルートとギターが流離うフォーキー・ソウル・バラード。

もちろん、「Ordinary Joe」や「Dancing Girl」、「I Just Can't Help Myself」など、あの3枚のアルバムからの珠玉の楽曲の数々の素晴らしさは言わずもがな。